車の中、ジルは何もできず、啜り泣くしかできない。すると、隣に座る逞しい身体の若者が、ゴツゴツした黒い手でスカートを触り、股間あたりをまさぐり始めた。男の右手が、ジルの膝の上、太ももの生肌になってる部分に触れ、ジルは、ぶるぶると震え、必死に男の手を払いのけようとした。
「柔らけえ……………めんこいなあ……………柔らかでめんこい先生! 父ちゃんが言ってた。薪をちゃんと切っておいたので、いい子だって! いい子だからご褒美をくれるって! あんたがご褒美だって!」
知恵遅れの若者がそう呟くのを聞き、ジルはぶるぶる震え、さらに啜り泣いた。
夫のビルはどうなっているの? 酷く痛めつけられたのじゃ? ……心配は尽きないジルだったが、突然、男が腕を背中に回し、彼女の肩を抱き寄せてきて、ジルは嫌悪感にまた身震いした。
さらに男の手が彼女の左腕の脇の下へするりと忍び込み、服の上からではあるものの、左の乳房を覆った。その指は蛇のように彼女の乳房を這いまわり、膨らみかけたつぼみのような乳首を探し当て、つまみ始めた。その刺激に求めてもいない快感が身体を駆けめぐり、別の意味で身体が震えてしまう。その間も、太ももを触る手がじわじわと脚の間へ割り込み、伸ばした指先が彼女の薄地のパンティの股間部分を擦り始めた。
このまま車の中でずっとこんなことをされてしまうの? そう不安に思い始めた頃、目的地に着いたのか、車が山小屋の前で止まり、ジルはほっとした。年配の男が車の外からドアを開け、若者に言った。
「トビー、その人を車から降ろせ! そのきれいな先生はお父ちゃんが小屋に案内する。お前は、その人の旦那をトランクから出して、小屋に運んでくるんだ!」
アモスはジルを引きずるようにして泥道を進んだ。
「息子が男になる時は、色っぽい美人をお相手にしてほしいとずっと思ってたんでな。それがあんたのような可愛い先生ときたもんだ。こんないいことねえ!」
ジルは、男が山小屋へと連れながら、そんなあからさまなことを言い、何気なく尻を触ってくるのを感じ、下唇を噛んで屈辱に耐えた。
小屋の中に連れられ、茶色くくすんだざらざらした内壁を見回し、古く汚い家具を見てジルはゾッとした。背中を壁に立っていると、外からどしんどしん重たそうな足音が聞こえ、入口にトビーが現れるのを見た。まるでジャガイモを入れた大袋を抱えるように、軽々と肩にビルを抱えて入ってくる。
すると父親の方が、壊れかかった古い事務用椅子を持って来て、ビルをそこに座らせるよう、息子に指示した。ジルはどうすることもできず、夫がその椅子の腕と脚に縛り付けられていくのを、ただ見ている他なかった。
ビルをしっかり椅子に縛り付けた後、男はビルの椅子を古いソファと肘掛椅子の間に移動した。そして、引き出しの中から何か瓶のようなものを取り出し、そのふたを開け、ビルの鼻先で振ってみせた。
多分、その瓶には強烈な匂いを出すものが入っているのだろう。ビルがそれを避けるように頭を後ろに引き、ゆっくりと意識を取り戻し始めた。
「ほら目を覚ませよ、坊ちゃん! あんたの可愛い奥さんがわしらに見世物をしてくれるんだ、見逃したくねえだろ?」