夫は、私の涙目を覗き込んだ。
「君が僕にビッキーでいて欲しいと思うなら、僕もそれに付き合っていけると思うよ。あれこれ言っても、これまでも、ちょっときわどいけど、楽しい遊びだったから」
私は安心し、これまでのことで私たちの関係が台無しにならなかったことを喜んだ。
「ホントなのね、ビクトリア?」
彼のあごに手をかけ、彼の瞳を見つめた。
「あなたが望むなら、いつでも止められるから」
そう言って、パンティに包まれた彼のペニスをさすった。みるみる固くなっているのを感じる。その勃起を、愛しさを込めて、優しく上下に撫で続けると、彼の息づかいが次第に速くなり、瞳もキラキラと輝いてきた。
「ああ、本当だよ」 夫は、私に触られ、体をくねらせながら返事した。
「ホントにホント? ビクトリア?」
私はしつこく聞きながら、両手を彼の胸へ這わせた。サテンのブラジャーの上から彼の乳首を擦る。
「ああ、本当に本当だ」 彼は私の手に胸を押し出すようにした。
ブラジャーを通して指で触りつつ、彼の乳首を両手の親指と人差し指で挟み、くりくりと転がした。彼は小さい喘ぎ声を上げ、目を閉じた。それを見て、今度はいきなり、彼の乳首をつよくつねった。夫は驚いて目を開き、口もぱっくりと開けた。私はすかさず彼の口を私の口で塞ぎ、舌を差し込み、深々とキスをした。驚いて緊張していた彼も、私のキスを受けて、半ばリラックスし、自分から胸を突き出して、私がつねるのに任せ、小さな声で喘ぎ続けた。
それから、顔を引き、キスを解いた。乳首もつねるのはやめ、ブラの上から優しく撫でるだけにした。そうしながら彼の瞳を覗き込む。
「じゃあ、もう私にノーと言わないように。言ったら、すべてはそこで中止。分かった? ミス・ビッキー?」
私が言ったことを理解したという表情が彼の目に浮かんだ。その視線が下へ降り、彼の胸をかすめ、その下方に起立しているペニスに向けられた。そしてそこから跳ね返るように、上に戻ってきて私の目を見る。彼の口からは、非常に女性的な言葉が返ってきた。
「分かったわ。もうノーとは言わない」
私は自分のシートに座りなおした。
「そう、それでいいの。さあ、口紅を直してショッピングに行きましょう?」
彼はジーンズのポケットに手を入れ、グロスの小瓶を取り出し、ふたを開けた。私は彼にティッシュを渡した。
「最初に、乱れてしまったグロスを拭き取らなければダメよ」
彼は、にっこり微笑む私を見て、微笑み返した。
「僕は、まだ、この口紅関係のこと、よく知らないと思う。だけど、これから勉強はできるよ」
彼はティッシュで叩くようにしてグロスを拭き取り始めた。
「あなたはすごく物覚えがいいと思うわ。信じられないほど潜在能力を持っている人だと思う」
「潜在能力って、何になる能力?」 彼はグロスを拭きながら呟いた。
「とても素敵な恋人になる能力よ」
彼にウインクをして見せた。
「あなたには、適切な素質がすべて備わっているもの。それに、とても美しいし。それって、とてもワクワクするわ」
二人ともグロスをつけなおした。彼が自分でドアを開けようとするのを見て、私は言った。
「私がするから待って」
「これにも慣れてきそうかな」 夫は、そう言いながら車から降りた。
「あなたなら、いろんなことに慣れることができるわ。たくさんあると思うけど」
そう言って微笑み、彼の背中を軽く叩いた。そして、彼の耳元にキスをし、軽く耳たぶを噛んで囁いた。
「これは最初のお仕置き。まだスパンキングが残ってるんだから」
二人で「シンディのランジェリーと小物の店」に入りながら、彼は笑みを浮かべ、「待ち遠しいよ」 と言った。