行為が終わり、俺たちは服や髪を整えた。俺はポケットに手を突っ込み、中からゲスト用の入場パスを取り、ステファニに出した。ステファニは顔を下げ、そのカードを不思議そうに見た後、受け取った。
「これ何?」 と彼女はカードを読みながら訊いた。
「明日の夜12時に、その住所のところに来るんだ。お前に買ってやったあの薄地の青いドレスを着てこい。それに黒いストッキングとガーターを着て、俺が買ってやった黒いハイヒールを履いてくること。ブラジャーもパンティもつけてくるな。この指示に従わなかったら、厳しいお仕置きをするからそのつもりでな」
そう言い、ステファニが愛人のペニスを咥えている写真を出した。
ステファニは視線を入場パスから写真に向け、ハッと息を飲んだ。しばらく写真を見つめた後、顔をあげ、俺を見た。
「お願い、ジャスティン。何でもするから、その写真をこの家に置いていくのはやめて」 ステファニはそう言って、入場パスを自分のポケットに入れた。
俺はニヤリと笑いながら、向きを変え、キッチンを出て、小部屋へと歩いた。すでに6時10分だ。あと20分でシーサイド・ダイナーに行かなければいけない。俺は小部屋の入り口に立ち、壁に寄り掛かってちょっと様子を見た。後ろでドアが閉まる音が聞こえた。多分、ステファニは身体をきれいにするためトイレに入ったのだろう。
「ブラッド? 俺、もう帰るよ」 とブラッドに声をかけた。ブラッドはソファから跳ねるようにして立ち上がった。
「美味しい夕食、ありがとうございました」 とブラッドの父親も立ち、俺に握手を求めて手を出すのを見ながら言った。
「ジャスティン、君はいつでも歓迎だ。家の家族の一員のようなものだからな」 とブラッドの父親は握手をしながら言った。
握手した手を離しながら、もし、ブラッドの父親が、いま握手した手が、ついさっき彼の妻の頭をペニスにゆっくりと導いたのと同じ手だと知ったら、どんな反応をするだろうなと思った。この手が彼の妻のブロンド髪を握り、俺のスペルマを飲みこませた手だと知ったら、どうするだろう? それに、俺の手が今も彼の妻の膣に仕込んであるバイブを操作していると知ったら? 俺はニヤニヤしながら玄関へ向かい、外のポーチに出た。
「いつかまた、一緒につるんで、何かしようぜ」 とブラッドは俺を車まで送りながら言った。
「ああ、しばらく遊んでなかったからな」と俺は車のドアを開け、乗り込んだ。
キーを差し込み、エンジンをかけた。ギアをバックに入れたが、まだ動かないようブレーキを踏んだ。
「電話をくれ」 とブレーキペダルを踏む力を緩め、ゆっくりとバックを始めた。
「そうするよ」 とブラッドはゆっくり走り去る俺に声をかけた。
俺はすぐに先にミセス・グラフに指示しておいた落ち合う場所に向かった。車を走らせながら、いまポケットにステファニからせしめた200ドルが入ってることを思い出していた。これがあれば俺のバンの後部座席をいろいろ改造することができるだろう。