完全無欠のboi
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本物のboiには味が分かる
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「シンシア、からかうのはやめて」とダレンは言って、シャツを捲り上げ、スウェット・パンツを引き下げた。「真面目な話なんだ」
実際そうだった。今ではグレート・チェンジと呼ばれている事件があって半年のうちに、ダレンの身体は前とはすっかり変わってしまっていたのである。
この半年、彼は世界から完璧に閉じこもっていた。ガールフレンドにすら会わなかった。もちろんガールフレンドとは別れた(電話でだが)。そして、つい二日ほど前、ダレンの母親はシンシアにダレンの様子を伺うよう頼んだのである。この何ヶ月もの間、誰もダレンから話しを聞いていなかった。
シンシアが来ると、ダレンは部屋に入れた。シンシアは彼の変化後の姿を見返すこともしなかった。シンシアはどうして引きこもっていたのか、ダレンの話しを聞くと、途端に笑いだした。もちろんダレンは、これがいかに重大なことか、シンシアには分かっていないんだと思った。そんなわけで、身体を見せたのである。
「何、バカなこと言ってるの。boiはみんなあんたみたいになってるのよ! 全然、恥ずかしがるようなことじゃないわ!」
それって本当なのか? 自分は…ノーマルなのか? 白人男は、今はみんなこんなふうになってるのか?
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フェリシアは、夫のトムに胸に水をかけられ、キャッキャッと笑った。その様子をふたりの黒人男が見ている。去年はフェリシアとトムにとっては大きな変化が起きた一年だった。
かつてはトムは男だったが、今は、ふざけまじりにレズっぽい前戯をして本物の男性たちを興奮させようとする普通のboiになっている。
それに、レスビアンが互いに楽しんでるのを見るのが男たちは好きだと、みんな知っている。少なくともトムは、あそこにいる大きな黒人男が自分たちのことを見て楽しんでくれてるといいと思っていた。そして、できれば、ここにいるboiふたりと女の子ふたりに、ご褒美として、何かちょっとお楽しみをしてくれたらいいなと。何か、ぐいっと挿しこんでくるような何かを。
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ラリーは妻の方を見やった。彼の妻はいま、彼女の男に同じことをしていて忙しそうだ。ラリーは妻より自分の方がテクニックの点で上回っているのを知り、気分がいい。
練習をすれば完璧になる。彼はいつもそう言われてきた。そしてグレート・チェンジ以来、彼はたくさん練習を重ねてきた。毎週末、ラリーと彼の妻は、しこたまセックスしてくれる大きく逞しい男たちを求めて街に出かけている。
ふたりのどちらかが三振になる週末はめったになかった。
ラリーは特にフェラチオをするのが大好きになっていたが、今は、この大きなペニスをお尻に入れてもらいたい気持。しかも今すぐに。
たった2年前は、彼は普通の夫で、普通の生活をしていたのであるが、今となって考えると実に不思議だ。
彼の生活はこれほど大きく変化したものの、彼は(多少、不節操とはいえ)それでもノーマルであると思われている。