その日の夕方、遅く。夕食の準備をしていたエレンは、ガレージのドアが開く音を聞いた。子供たちが楽しかった一日についてしゃべっている声が聞こえる。エレンは、シンクで野菜を洗いながら、「お帰り!」と声をかけた。
夫も入ってきて、ドアを閉め、シンクの前に立つ彼女の後ろから腰に腕を回して抱き寄せた。エレンは顔を後ろに向け、夫の唇に軽くキスをした。
子供たちがキッチンから出て行くと、彼女の夫は手を腰から上へ滑らせ、乳房へと近づけた。エレンは思わず身体を震わせた。
「あ、あなた……いま……いま、サラダを作ってるところなのよ!」
そう言って夫を制しようとしたけれど、胸を触られ、声を漏らしてしまう。
「ああっ………ううんんん…………!」
快感からの声ではない。オーティスにいじられ、敏感になっている乳房の痛みからだった。さらに悪いことに、彼女の夫はその声を快感の声と勘違いし、さらに乳房を強く揉み、極度に敏感になっている乳首をつねった。
「今日はどうだった?」
そう尋ねられ、エレンはいつものように教会に行ったこと、そして家の中を片付け、ベッドのシーツを交換したと話した。それは嘘ではない。オーティスに脱がされたドレスやハイヒールが家の中、散乱していて、それを片付けたからである。もっともブラジャーとパンティはオーティスはお土産だと言って持ち帰っていたが。それに、シーツは絶対に交換しなければならなかった。その日の午後、数え切れないほどセックスを繰り返したため、すっかりびちゃびちゃになっていたからである。
夕食の後、夫とテレビを見ながらエレンは言った。
「あなた? お仕事、忙しそうだし、暇な時間もなさそうよね。だから、家の周りの雑務をしてくれる人をバイトで雇うのはどうかしら? 教会で、水道管の修理をしてた用務員さんと話したの。パートタイムならいつでもいいと言ってたわ。まずは主人に訊いてみると答えておいたわ。教会で雇ってる人だから、正直だし信頼がおける人に違いないと思うの。私もその人に庭に何か植え付けてもらおうと思ってるのよ」
夫がその考えに同意するのを聞きながら、エレンの頭の中、たったひとつのことだけが浮かんでいた。 オーティスに植え付けてもらうモノ…………あの大きな黒ペニスをしっかりと植え付けてもらうこと、それだけだった。
水曜日、仕事帰り、エレンは教会に立ち寄った。ちょうど教会の秘書が事務所を閉めようとしていたところだった。神父がいて、懺悔を聞いてもらおうと期待していたエレンは、神父が病院に見舞いに言ってると聞いてがっかりした。教会の扉は礼拝に来る信者たちにはいつも開け放されている。エレンは信者席の前にひざまずき、心の中で罪の許しを願った。
オーティスは教会の2階席で、椅子を修理しているところだったが、コツコツとハイヒールの音を鳴らして誰かが教会に入ってくるのを聞いた。窓から外を見たら、秘書の車が駐車場から出て行くのが見えた。他の信者たちも帰り始めている。それを見てオーティスは素早く行動しなければならないと思った。
まだ6人ほど、下の信者席に教会のメンバーや知り合いたちがいる。エレンは見つかってしまう恐れから、決して声をあげられないと悟り、小さく喘いだ。声をあげて誰かの注意を引きつけてしまったら、その人は何事だろうかと2階に上がってくるだろう。そうなったら、どうして自分が2階席で床にひざまずいているのか説明できなくなるのは明らか。お祈りをしていたと言っても通らないだろう。衣類をすべて脱がされ、素っ裸になって、片手で太い黒棒を握り、頭を前後に振っている状態なのだから。
その日、いつもよりちょっと遅れて帰宅したエレンは、遅れたことを謝った。
「ちょっと教会に立ち寄って、聖餐式に参加してきたので時間がかかったの」
夕食を作る前に、彼女は寝室に行って着替えをした。唇を舐めると、ついさっきしてきた聖餐式の味が残っていた。バスルームに行き、服と濡れたパンティを脱ぎ、戸棚を開けた。まだ残っていると思っていた洗浄液を全部使い切っていたことに気づき、エレンはハッと小さく声をあげた。
「大変! 夕食の後、ひと瓶、買いに出かけなくちゃいけないわ。それまで待って遅すぎにならなければいいんだけど」
おわり