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オマール・ベルの世界 (9) 

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イアンは、かつて誰はばかることなく女好きを自認していた男であった。だから、ヤレそうな女を見つけてはベッドに連れ込んでいたものだった。

だが、変化があって以来、彼は大きい黒ペニスを持った本物のオトコが欲しくてたまらない、ただの、よくいるセクシーなboiになっている。

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「いいよ」 とハンターは言い、タオルの前を広げ、女性化したboiの身体を見せた。「嬉しいか?」

彼の姉のキャンディスはくすくす笑って言った。「何それっ…ちっちゃいっ。何と言うか、学校のロッカールームでboiを見たけど、でも……ただ、普通より小さいだけかと思っていたわ」

ハンターはタオルを閉じ、皮肉まじりの声で言った。「とても理解を示してくれてありがとう」

そして彼は立ち去った。後に黙ったままの姉を残して。

彼は自分の部屋にいた。ほぼ服を着終えたところだった。その時、ドアをノックする音が聞こえた。

「どうぞ」

ドアを開けると、キャンディスがいた。ハンターが何か言う前に、キャンディスが一気にまくしたてた。「ごめんね。辛いのは分かるわ。大学に入った途端、こんなことが起きちゃって……」

「いいんだよ」とハンターは少し間をおいて答えた。「これに慣れなければならないとは知ってるんだ。こうなることを知らなかったわけじゃないしね」

その後、ふたりは長々と心のこもった話しあいをした。それは、それまで長年ふたりがおしゃべりしてきた、普通のおしゃべり以上の会話だった。後になって分かるが、この時の会話は、姉と弟という関係を超えた、生涯に渡る友情が生まれるきっかけになったのだった。

考えてみると不思議なものである。あの出来事、つまりグレート・チェンジは、ほぼ普遍的に恐ろしい犯罪と考えられているのだが、それが、ハンターとキャンディスの人生に、このようなポジティブな変化をもたらす結果になったのである。不思議と言えば不思議だ。

人生とはこういうものである。

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ディランは作り笑いをした。でも、不安な気持ちが今にも表に出てしまいそうな感じだった。この新しい水着にみんなどんな反応をするだろう? 確かに、法律によって、boiは乳首を隠さなければならなくなり、たいていの人は単純に女性の水着を着始めた。ではあるものの、ディランは違う。彼はboi用にデザインされたトップを着ているのだ。boiは乳房がないので、女性と違って胸を支える必要がないのだ。ただ乳首だけ隠せばいいのだ。そういうわけで、この新しい水着である。ディランは、こんなのを着て、自分のことをふしだらなboiだとか淫乱だとか思わないようにと、ただ祈る他なかった。もっとも、このルックスを彼は気に入っていた。それにもっと重要なこととして、男たちも気に入っていたのである……。

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オリバーはにっこり笑ってラマールに写真を撮ってもらった。だが、このboiは、どうしても、この男が本当にプロのカメラマンかどうか怪しいと思ってしまうのだった。

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一夫一婦制……それは過去の遺物、時代遅れの考え、昔の世界の残りかす、すでに過去となった文化規範である。グレート・チェンジの後すぐに、男性が恋人なり妻なりたった一人と一緒になるという考えは死滅した。どうしてそうなったかは難しいことではない。男性の数は圧倒的に少なくなり、男性がboiと女性の同伴者を持つのは2年ほどの間に一般的になったのである。グレート・チェンジの4年後、一夫多妻制が合衆国とヨーロッパで合法化された。今日、政府が提供する治療法があるにもかかわらず、boiと女性を合わせた数は男性の数より15%多く、ひとりの男性が5人もの妻を持つのは異常なことではないのである。

この写真に写ってる4人の妻たち(キャラ、ヒュー、リッキー、マンディ)にとって、一夫一婦制はほとんど常識外の概念である。「私はチェンジの前に結婚してたのよ」とマンディは言う。「もちろん、彼は変わったわ。そして私たちの夫婦生活は崩壊したの。でも私は、今の方が絶対、好き……私が、何と言うか、その気持ちになっていない時、私の妹妻かお兄さん妻がその気になってるかもしれないでしょ。そうすればリオンは不満のままでいなくてもいいから。加えて、私たちだけでちょっとお楽しみをすることもできるし。分かるでしょ? 私はリオンに嫁いだのと同じように、妹妻やお兄さん妻にも嫁いでいるの」

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クレイグは薄笑いを浮かべて振り返った。自分は何をしようとしてるんだろうと思いながら。確かに、よい考えのように思えた。それに、誰もが、それは当然のことだと言っている。でも、ロブの大きくて黒いペニスを見ながら、クレイグは不安になっていた。アレ、収まるのかしら? 痛くないかしら? みんなにバレたらどうなるだろう? 彼は、その反響を想像し、身震いした。

彼の年頃の多くのboiたち同様、クレイグは大学生2年生で、ごく典型的な学生である。彼は主義主張に執着する傾向があり、彼が最近嵌まっているのは「平等の権利を求めるboi」という運動グループだ。この名が示す通り、このグループは差別に対する抗議行動をするものだが、実際は、このグループはそれ以上のことを要求していた。そのメンバーの多くは、グループの要求を広く解釈し、男性とboiの関係に反対するキャンペーンを公然と行っている。いわく、たとえ人的原因による変化であれ、男性とboiは女性と共にいるのが自然であって、男性とboiとが共にいるのは許さないという主張である。そして、クレイグは、この主張を極めて声高に支持しており、boiと男性の結婚式に出向いて抗議行動をするほどであった。

だが、そんなクレイグも他のboiと異なるところはまったくないのである。彼はレスビアンではなく、実際は男性に非常に心を惹かれていた(そして男たちも彼に惹かれていた)。彼は、実際にその欲望に負けたことは一度もなかったが、大きな逞しい男に身体を奪われることを夢見ていたのである。彼自身、それを認めてはいなかったが、彼はそれを求めていた。

では、彼がこのようにベッドで裸になり、誘うようにお尻を高々を突き出し、見知らぬ男にバージンを奪われるのを待っているに至った経緯はどのようなものだったのだろうか? 彼は従兄のところに遊びに来ていた(彼の従兄はクレイグが住んでいる場所から国を半分ほど横断したところに住んでいる)。そしてふたりは遊びに出たところだった。ふたりとも可愛いboiである。会うといつも、ふたりとも酔っぱらうまで互いに酒をおごりあう間柄だった。ふたりが酩酊するまで長い時間はかからなかったし、クレイグが自分の欲望に従ったらどういう結果になるだろうと思いつつ、今の状況になるまでも時間がかからなかったのである。


[2014/07/03] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

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