玄関ドアのノブに手を掛けたビルは、ドアにカギがかかっていないことに気づいた。音を立てないようにドアを入り、中に入った。玄関先のロビーに服が脱ぎ散らかしてある。それを見て心臓が高鳴った。メリッサのスチュワーデスの制服、破れたブラウス、下着、ヒールとストッキングを拾い、確かめた。そして玄関脇のテーブルに目が行った。そこを触れると、指先にねっとりとした液体がついた。親指でそれを擦り、その液体が、まさにここで行為が行われたことを示す証拠であることを知った。指を鼻に近づけると、刺激的匂いがし、疑念をさらに裏付けた。
そっと忍び足で寝室に向かった。期待にペニスがヒクヒクするのを感じた。そして注意深くドアの前に来て中を覗きこんだ。ちょうつがいの部分の隙間から覗けば、見つかる可能性がほとんどなくても中を見ることができる。実際、あまり気にしなくても見つかる心配はなかった。というのも、ふたりとも行為に夢中で、ひとつのことしか考えていないことは明らかだったからである。
刺激的な光景にビルのペニスは激しく勃起した。愛する妻の美しい白肌の身体が逞しい大きな黒い身体に覆われている。これはレイプなどではあり得ないのは明らかだった。メリッサの細い腕とセクシーな脚が男の身体を愛しそうに包んでるのだから。
キングサイズのベッドで性交をするふたりを見ながら、ビルはどうしてもズボンのチャックを降ろし、ペニスを出さずにはいられなくなった。愛らしい妻が黒人とセックスをしている。それを見ながら自分の一物を擦り始めた。
ビル自身、信じられないほど興奮していたが、妻が次のように喘ぐ声を聞き、かなり気落ちしたのも事実だった。
「ああ、いいわ………すごく感じるぅぅぅ………………………………………いいぃぃぃぃッ!………………………………………この前の週末からずっと夢に見てきたのよ! ええ…やって…………………………突き入れて! ……………思う存分やってほしいの! すごく大きい………………夫のなんかよりずっとずっと大きいの…………………………ずっとずっと気持ちいいし! あ、アアっ! うっ、うっ! いいっ…………………………あなたはまさに私がずっと求めていた人よ!…………………………本物の男!」
ビルは、毎晩メリッサと共にしているベッドで行われている刺激的な光景から目を離すことができず、ひたすら自分のペニスを擦り続けた。やがてメリッサが男にねだる声が聞こえた。
「あっ、あっ、あっ、あっ!…………いいッ!……………………い、イキそう……………………イキそうよ……………………一緒にイッて!……………………中に出して欲しいの……………………中にぃぃぃッ!……………………あなたの黒い子種…………中に撃ち込んでぇ! 注ぎ込んでほしいの!……………………赤ちゃん、産ませてぇぇぇ!」
ビルは男の逞しい黒い尻肉がキュッ、キュッと収縮するのを見た。男が太い声で唸るのを聞いた。メリッサの子宮に精液を注ぎ込んでいる瞬間であるのは間違いなかった。
愛するメリッサの方も射精を受けて、全身を強張らせ、そして痙攣させている。両手をかぎづめのようにして男の背中にしがみつき、両脚を使って男の腰を自分へと引きつけた。その瞬間、ビルは膝から力が抜け壁にもたれかかった。身体を震わせながら、壁の隅に白濁を飛ばしていた。
ビルは、最後にもう一度、ベッド上で絡みあうふたりの身体に目をやり、静かにチャックを上げ、家から出た。時計を見て、急がないと、昼食の約束の時間に送れるかもしれないと知った。玄関前に置き去りにされたままのブランコの部品を見ながら、あの男がちゃんと時間通りに組み立てるよう願った。さもないと娘たちががっかりしてしまうだろうと。何より、メリッサがあの男をあまり独り占めせず、仕事をする時間をやるようにと願った。
その日の夕方、ビルはいつも通りの午後5時半に帰宅した。ガレージに乗りこみ、妻の車の隣に駐車した。庭から娘たちの笑い声が聞こえてくる。ビルは庭に行き、娘たちが新しいブランコ・セットで楽しんでいるのを見た。メリッサが小さい方の娘の背中を押して、遊ばせている。
正直、ビルは、この時のメリッサがいつにも増して若々しく輝いて見えると認めざるをえなかった。自分が帰宅したのに気づき、笑顔で駆け寄ってきて、情熱的にキスをして迎えてくれた。
「ブランコの組み立て、どんなふうだった?」 とビルは、この「貞淑な」妻がどんな嘘をつくだろうかと思いながら、メリッサに訊いた。
「ええ、あのセールスマン、予定よりちょっと早めに着てくれて、本当にいい仕事をしていったわよ! いったん仕事を始めた後は、その組み立てる速さと言ったらなかったわ。ああ、ビル? 気にしてくれないといいんだけど、あの人に素晴らしい仕事をしてくれたお礼として、あなたの引き出しから50ドル出して、彼にチップをあげたの! いいでしょう?」
それを聞いてビルは心が沈んだ。メリッサはあの男にセクシーな身体を献上したばかりか、自分のカネを使ってチップをやったとは!
玄関を入り、玄関先のフロアを見た。すべて普通通りに戻っていた。午前中、見た時の乱れた状態とは大きく異なっていた。寝室に入ると、ベッドは新しいシーツに換えられていた。午前中に起きた出来事の痕跡として認められるものは、たった一つしかなかった。それは、ビル自身が寝室の入り口の隅に放った乾いた精液の跡である。
その夜、ベッドの中。ビルは待ちに待った様子で、セクシーな妻を両腕で抱き、愛の行為を始めた。行為が始まり、すぐにメリッサは細い両腕と両脚で彼の身体を包み、しがみついた。ビルの頭の中、その日、目撃した美しい妻と逞しい黒人男が抱き合う光景ばかりが浮かんだ。
何度か出し入れを続けたが、ビルは行為を持続させることができなかった。メリッサが、もっと続けてと甘い声を出し、両手、両脚で彼の身体を絞るようにしがみつくのを感じつつ、あまりにも速く彼は果ててしまった。その瞬間、ビルは確かに耳にしたと誓える。不満を感じた妻が小さなかすれ声で「もうっ! 本物の男が欲しいわ!」と言ったのを。
ビルには分かっていた。その日、メリッサを満足させた、あの「本物の男」。あの男には自分は敵うはずがないということを。だとすると、楽しめることと言えば、メリッサが再び「本物の男」に抱かれているところを見ることしかないのかもしれない。実際、ビルは再びその光景を見てみたいと思った。
そして彼は思い出した。職場で、近々、ある地域のマネージャーのポストが空くことになることを。その地域の担当の重役は、中年の黒人で、女たらしとして有名な男だった。
ビルはそれまではそのポジションのことをあまり考えなかったが、今は違う。メリッサは黒人のでかいペニスを切望しているのだ。考えてみれば、自分にはあのポジションに就ける資格は全部そろっている。後は、完璧なセッティングをして、あの重役とメリッサを引き合わせるようにすればいいだけだ。メリッサも黒ちんぽがそんなに欲しいのなら、それもよかろう。あの重役にお前の色っぽい尻をやらせる代わりに、仕事のポジションをもらうことにしようか。
おわり