ケリーは独りごとを呟いた。
「ああ、何てことなの? ……………… こ、こんなことありえない ………………… まさか ………… まさか新婚旅行でなんて! これは現実じゃないわ! 私にこんなことが起きるなんて、ありえない! こんなの悪い夢に違いないわ!」
だが、ナイフを持つ男は、信じられないことを言いだすのだった。
「ここにいる旦那、ランチなんかどうでもいいと思っているようだぜ! 旦那は、綺麗な花嫁さんとここにいて、楽しみたいようだ! 可愛い花嫁に会ってくれって、俺を部屋に招き入れてくれたのも旦那だしな! 旦那が言ってたぜ? あんた、幸せいっぱいだから、俺にもオモテナシをしてえんじゃないかってよ! あんたの旦那、ずいぶんいい奴だと思わねえか? えぇ?」
ケリーは、信じられない事態に、ハアハアと息を荒げながら、ただ男を見つめることしかできなかった。男はブライアンの背後にまわり、鋭い刃先を首にあて、怒鳴った。
「言ったことが聞こえねえのか? …………… 旦那はいい奴だと思わねえか、って訊いたんだぜ?」
ケリーは喉が渇くのを感じ、固唾を飲み、頷いた。そして震える小さな声で言った。
「え ………… ええ ………… ええ、そうです!」
心臓の鼓動がさらに速くなっていた。恐怖で震えが止まらない。
ケリーの返事を受けて、乱入者は要求の言葉を投げつけた。ケリーは最悪の事態になったことを思い知らされる。
「そうだなあ…、可愛い花嫁さんが服を脱ぐところを見てえもんだな! ちょっと、色っぽくストリップしてくれりゃ、それでいい! さあ、そのブラウスのボタンを外してみてはどうだ?」
ケリーは涙が溢れてくるのを、まばたきをして堪え、下唇を噛んだ。そして、自分に言い聞かせた。……ブライアンを助けるために言われたことをしなきゃダメ! どんなことでも………
震える手をブラウスのいちばん上のボタンへ持っていった。そこをゆっくり外す。涙がつつーっと頬を伝った。さらに次のボタンも外していく。
さらに続くボタンを2つ外した。残りのボタンを外すため、スカートからブラウスの裾を引っぱりだす。すでにケリーは鼻をすすって泣いていた。そんなケリーをさらにいたぶるかのように、男はブライアンを煽り始めた。
「おい、おめえ、こんな可愛い女を嫁にもらったとは、ずいぶん運のいいヤツじゃねえかよ! おいおい! ……………… 彼女がおめえと結婚するのを決めたのは、アレだろ? おめえ、デカイちんぽ持ってるからじゃねえのか? えぇ? そうだな ………… 図星だろ。えぇ? おめえの可愛い花嫁ちゃんは、キツイまんこに、でかマラを突っ込まれるのが好きなんだな? だからだろ? ……………… 違うか?」
ブラウスを脱ぐと、すぐに次の命令が飛んできた。
「今度はスカートだ!」
ケリーはスカートの横に手をやり、そこのボタンを外し、チャックを下げた。嫌々ながら、緩んだスカートを手から離した。スカートはスルスルと降りて行き、彼女の足元、白いハイヒールのところに落ちた。白レースのパンティが男のイヤラシイ目に晒される。
ケリーはこんなに肌を知らぬ人に晒したことはなかった。ひどい恥辱に、これ以上続けたら神経がもたなくなるのではと、身体を震わせた。
両腕を前で交差させて胸を覆い、左右の太ももをぴっちり閉じて、できるだけ身体を隠そうとした。
「よし、じゃあ、ちょっとこっちに来い!」
ケリーには、その命令ですら、わずかながらも猶予ができたとありがたく感じられるのだった。勇気を振り絞って、縛られた夫とナイフを持つ男に近づくと、次の命令が飛んできた。
「おお、そこでいい! ああ …………… そこのカーペットにひざまずけ ……………… ああ、そこだ! おめえの旦那の横だ!」
できるだけ肌を隠そうとしながら、ケリーは床に座り、うなだれ、啜り泣いた。男はブライアンの横を回って、今はケリーの前に来ていた。
突然、男がナイフを振り降ろし、ケリーは衝撃に息を飲んだ。ナイフがブライアンが縛り付けられている椅子に突き刺さっていた。ブライアンの広げた脚のちょうど真ん中のところだった。
どうしてこんなふうに床に座らせられたのか? その答えはすぐに明らかになった。
「ここにいる旦那は、おめえに俺をもてなしてくれと言ってたぜ! だが、俺ばっかりオモテナシされても不公平だよな! 旦那も楽しませてやらなきゃイケねえ! だから、旦那にはリングサイドの特等席から見てもらうことにしよう!」