ブライアンは、ケリーが中出しされた瞬間、がっくりとうなだれ、そのまま、あごを胸につけたままになっていた。だが、再び、ベッド上で行為が熱を帯びてくるのに気づき、頭をもたげた。この男がケリーに淫欲の種液を放出したのは、ついさっきのことだったのに、もう次を始めている! この男、なんてスタミナの持ち主なんだ! とはいえ、ブライアンは、この男がケリーに興奮したことを責めることはできないと思った。ケリーが美しく魅力的なのは事実なのだから、どんな男であっても、射精後もすぐに再び興奮してしまうのも、しかたないだろう。
だが、ケリーの反応を見たブライアンは、ごくりと固唾を飲まざるをえなかった。単に無抵抗で男のなされるままになっているのではなく、両脚を持ち上げ、白いハイヒールを、突きを繰り返す男の黒い尻に乗せたからである。どう見ても、この男を受け入れているようではないか。ブライアンは再び勃起をしていた。ペニスがピンと直立している。
ケリーは、眼を閉じ、両手でシーツを握りしめ、ギシギシ歯を食いしばって耐えていた。決して反応したり、声を上げたりしないように、必死に耐えていた。声を出してしまったら、今の感情をこの男に伝えてしまうことになる。
ケリーの心の中、感情が入り乱れていた。この男が再び行為を始め、再びレイプされているという恐怖があったが、同時に、この男によって、決して望んでいない快感がじわじわ膨れ上がっているもいた。この男の強大なペニスは、抽迭を繰り返しながら、根元の部分で彼女の敏感なクリトリスをなぶり続けていた。そこを擦られるたびに、ケリーの膣肉はキューっと収縮を繰り返し、逞しい男根を締めつける結果になっていた。
ブライアンが見つめる前で、ベッドの上、男の出し入れのスピードがだんだんと速まっていった。それと相まって、ケリー声も大きくなっていた。ブライアンからはケリーの顔が見えない。だが、声を出すまいと必死に堪えているのは分かる。それでも、耐えきれなくなって、小さな泣き声、腹の底から出すような快感の声が、漏れ聞こえてくるのだ。その目の前の光景とケリーの悩ましい声があいまって、ブライアンのペニスは、再び、ピクピクと狂ったように跳ねていた。
……ああ、なんてことだ ……………… こいつ、またケリーの中に出すつもりだ!
すでにどれだけ多量の種液が、ケリーの子宮に注ぎ込まれしまったか、いまは想像することしかできない。だが、あの巨大な睾丸は、再び、膨らみ、またも、僕の美しい花嫁に注ぎ込もうと暴れ出してるではないか!
……ああ、ちくしょう! …………… 昨日の夜には、ケリーは僕にコンドームを忘れずにつけさせた。そして、このハネムーンでも、ケリーが妊娠しないようにと、1週間分、箱ごと買ってきたというのに!……
ケリーがこの黒人の大男に子を孕まされられる! ブライアンは、それを思い恐怖におののいたが、彼の脚の間のもう一つの頭部は違う反応をしていた。興奮してヒクヒク跳ね続けていた。
そして、その時、ベッドの上、根元まで挿入された黒いクサビで結合した白と黒のふたつのからだが同時にぶるぶる震え始めた。
ブライアンの脳裏に、お腹を膨らませたケリーの姿が浮かんだ。そしてブライアンは、ううッと唸り、またも白濁を噴水のごとく宙に飛ばしたのだった。
夫の苦しそうなくぐもった唸り声を耳にし、ケリーは涙いっぱいの目をブライアンに向けた。そして、この時も、自分がレイプされているのを見て愛する夫が射精する姿を見たのだった。この人は、私がこの逞しい黒人にレイプされ、からだを残忍に凌辱されているのを見て興奮している! ケリーは目を閉じ、さらに涙を溢れさせた。自分のからだに行われている卑劣な行為に対する恥辱ばかりでなく、ブライアンに対する怒りによる涙でもあった。
男は、事実上、延々とケリーのからだをむさぼり続けたと言ってよかった。確かにわずかな回数ではあったが、休憩を入れ、彼女のからだからペニスを抜いた時もあった。その間に、男はルームサービスを注文し、ボーイには、ドアをノックするだけで、トレイはドアの外に置いておくようにと指示した。さらに、準備周到に、電話も、フロントで留め、部屋につなげないように伝えてあったし、室内の清掃も、こちらから言うまでは、しなくてよいと伝えてあった。
「私たち、新婚旅行なので、邪魔をされたくないんですよ。分かっていただけますね。あと、それから、ボーイにはトレーはドアの外に置いておくように言ってください。食べ終わった後の食器はチップをたくさん弾んで、ドアの外に戻しておきますから! ボーイさんたちも分かっていただけると思いますが!」
アーチーは電話でそうつけ加えたのだった。
火曜日の早朝。このホテルに入ってから2日経っていた。カーテンから射しこむ陽の光に、ケリーはまばたきして目を覚ました。意識を戻しながら、全身を覆う痛みに、顔をしかめた。この2日間の恐ろしい出来事の記憶がよみがえってくる。
「あああぁぁぁぁ …………… うううっ!」
肛門に鋭い痛みが走り、ケリーはうめいた。と同時に、前夜、気を失う前に起きた出来事を思い出した ……………… あの男にアナルを犯されたことを。
そして、いまさらながら、あの残忍な強姦男が、いなくなっているのに気づき、彼女は驚いた。2日間ずっとからだの上にのしかかっていたか、中に入っていたかだったのに!
ブライアン! とケリーはベッドから頭を上げた。ベッドの向こうに目をやり、こっちをじっと見ているブライアンの姿を見た。まだ、椅子に縛り付けられ、猿轡を嵌められている。それから、ケリーは部屋の中を見回した。そうして、あの男がようやく、このスイートルームから出て行ったことに気づいたのだった。
私は、あの黒人に何度からだを犯され、貪られたのだろう。ケリーには分からなかった。何時間も、ずっと挿入されたまま、繰り返し繰り返し、犯され続けた。その記憶しかなかった。
ひとつだけ、ケリーが鮮明に思い出せる出来事があった。それは、ベッドの上、四つん這いにさせられ、1メートルも離れていないブライアンへと顔を向けさせられた出来事。その姿勢のまま、まるで野良犬のように、後ろから犯されたのだった。
からだの痛みをこらえながら、ケリーはブライアンの縛りを解こうと、ベッドから這い出た。だが、ベッドから降りて2歩ほど進んだ時、ふわふわしているはずのカーペットがゴワゴワしているのを感じ、彼女は足元に目を落とし、足裏でカーペットを擦った。深紅のカーペットが、ブライアンが放出した後、乾いた精液で汚れている!
そして、ケリーは、椅子にだらしなく横たわっている、夫の貧弱なペニスに視線を向けた。それからブライアンの顔に視線を向け、睨みつけた。彼女の目には、明らかにブライアンに対する怒りの表情が浮かんでいた。ブライアンはそれに気づき、視線を逸らし、そして、うなだれた。
言うまでもなく、彼らのハネムーンの残りの日々は、想い出に残る楽しい日々とはとても言えないものとなった。ふたりはほとんど言葉を交わさなかった。もっと言えば、ふたりとも、ばらばらの行動をし、一緒にいる時より、独りで過ごす時間の方が多かったのである。
ケリーは考えごとをしながら、長い時間、散歩して過ごした。かつては愛し、そして結婚までした男性。だがいまは、そんな彼に、ちょっとでも触れられただけで、気持ちが悪くなってしまう。ブライアンが抱きしめようとすると、ケリーはすぐに顔をしかめて、からだを離した。もはや、単にハグしあうことすらなくなっていた。ましてやセックスなど考えることすらありえない。
ただ、ふたりが同意し合ったことがひとつだけあった。それは、今回のレイプ事件を通報しないことにしようということ。ふたりとも警察に尋問されるのは望まなかった。警察に言えば、この恐ろしい事件の詳細を語らなければならない。それにレイプされた話しが、友人や家族にも漏れてしまうことも望まなかった。
だが、強姦者が去ってずいぶんした後、ブライアンが、これを通報するのは止めようと言った時、ケリーは、心の奥底で、こう思わずにはいられなかったのは事実である。
……何よ、あなたは! あなたは、自分の妻がレイプされているのを見ながら、楽しんでいたのを他人に知られたくないだけなんでしょ! あんなふうに、カーペットじゅうに、出しまくって!
いま、あれから数週間が経っていた。ケリーは秘密を打ち明けられる人が必要になっていた。ブライアンは、遅くまで家に帰ってこない毎日だったが、ケリーは、そんなことは気にしていない。もっと言えば、ケリーはブライアンと同じ部屋にいなくてもよいことを幸いに思っていた。
今までは、ケリーは友人に打ち明ける勇気がなかったし、時々、職場に病欠の電話を入れてしのいできたと言ってよい。だが、今は事情が異なってきた。ケリーは勇気を振り絞って、ロリイの電話番号を押した。2日ほどでいいから、来週、時間を作ってくれないかと期待して。ロリイに事情を打ち明け、助言を得たかったのである。生理が止まっている今となっては、どうしても彼女の助言が必要だった。
おわり