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元スポーツマン (2:終) 

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トレバー・ハフ
元の身長:183センチ
元の体重:95キロ
競技:ホッケー

現在の身長:155センチ
現在の体重:46キロ
競技:チアリーディング

「思い出すなあ。グレートチェンジの前、僕がキャンパスでも大男と言われていた頃を。そんなに前のことじゃないんだけどね。それが今は……今は、元彼女にもこうして簡単に抱っこされちゃう」

トレバーはかつて、ホッケー界で2番目にからだの大きい男だった。NHL(全国ホッケーリーグ)の選手になる道を順調に進んでいた。だが、グレートチェンジのために彼の計画は中断してしまった(彼は今、チアリーダーとして奨学金を得ている)。そればかりか、NHL自体が、グレートチェンジの2ヶ月後に破産してしまったのである。ホッケー界では選手層は白人男性が優勢であり、白人男性は、どんなスポーツでも他と張り合えないし、ましてや、ホッケーという身体がものを言うスポーツではやっていけないことが明らかになったからだ。

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クリス・グリア
元の身長:185センチ
元の体重:101キロ
競技:野球

現在の身長:157センチ
現在の体重49キロ
現在の競技:ソフトボール

「高校を出てすぐにドラフトで選手になった。大きな契約みたいなもの。たいていは、球団はドラフトでピッチャーを獲得する。僕の場合は、キャッチャだったので(いや、ジョークじゃないよ、本当に)、ドラフトで獲得されたなんて前例がなかったんだ。マイナーリーグにいたのはたった2年間だけ。しかも最初の年に、年間新人賞を獲得した。だけど、今は……。まあ、あのグレートチェンジの後だけど、もう試合でプレーなんてあり得なくなって。本当に落ち込んだ日々を経験したんだ。何と言うか、野球は僕の人生だったからね。そんな時、僕の元のチームメイトのふたりほどから、一緒にソフトボールをやらないかって誘われたんだ。それから、いろいろなことがつながっていって……今はこの通り、僕はオリンピックのソフトボール・チームのメンバーになっている。不思議に思うかもしれないけど、ソフトは実際は野球より難しいんだよ。僕も慣れるのにちょっと時間がかかったけど、でも、ある意味で、これは僕の人生の空白を埋めてくれると思っているんだ。

グレートチェンジから2年後、ソフトボールは、いったんオリンピック競技から外されてしまった。しかし、グレートチェンジが原因で、オリンピック委員会はその決定を再検討することになった。そして、それから間もなく、ソフトは再びオリンピック競技に採用されたのである。他のオリンピック競技同様、ボイは男子選手とではなく女子選手と競技することが許されている。

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コナー・シムズ
元の身長:190センチ
元の体重:105キロ
競技:アメフト

現在の身長:160センチ
現在の体重:50キロ
現在の競技:不明

「画像が出てきた時のことを覚えている。すごく恥ずかしかった。何と言うか、プロのクォーターバックの私がそこにいて、周りにいる男たちに黒ちんぽを喰わされているわけだから。でも今は、もうその時期は過ぎたわ。今は、誰もがみんなクレージーなことをしてる時代だと思うし」

アメリカ全土のあらゆる人がこの画像を見たことがある。グレートチェンジが起きてからほんの2ヶ月後に撮られた写真だった。アメリカ人はこのグレートチェンジによる変化を実に急速に受け入れたわけであるが、その真の理由がこの画像にあると多くの人が考えている。なぜかを知るのは難しいことではない。あのコナー・シムズである。アメリカ人の大人気のフットボール・チームでクォーターバックをしていたスター選手のコナー・シムズ。全国の妻たちにとって、彼はスーパーモデルの存在だったし、多くの白人男性にとって、彼は男性像の理想の姿を示していたのである。そんな彼が、自身が属するチームのチームメイトにヤラレテいる写真がどこからか漏れた……。まあ、その後はどうなったかと言えば、多くの白人男性が、これは避けられないことだと諦めたと言うだけで充分だろう。

あのコナー・シムズですら抵抗できなかったのだ。どうして一般の男性が抵抗できようか?

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エリック・モーガン
元の身長:173センチ
元の体重:79キロ

現在の身長:152センチ
現在の体重:46キロ

「知らないわ……私は普通のボイよ? あなたが私にここで何と言ってほしいのか、さっぱり分からない……」

エリック・モーガンは優れたサッカー選手とは言えなかったが、MLSでプレーする程度は上手だったと言える(知らない人のためにつけ加えると、MLSとはアメリカのプロ・サッカーリーグの名前である)。たいていのボイ同様、彼の人生もグレートチェンジと共に劇的に変化した。だが、ひとつだけ、事件の前と後で変わらなかったことがある。それは、彼は今だに元のチームに属しているということ。もっとも、彼がプレーすることはないが。彼は他のやり方でチームを助けているのである……。

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クリント・ジェムソン
元の身長:190センチ
元の体重:88キロ
元の競技:テニス

現在の身長:157センチ
現在の体重:50キロ
現在の競技:テニス

「私は、いつも、試合に適応することができていました。クレーコートだろうが、芝生のコートだろうが……それぞれ戦略が変わるんです。2年ほど前、肩を痛めて、サーブも時速30マイルほどスピードが落ちた時もあって、あの時も試合のやり方を変えなければいけなかった。でも、今度はグレートチェンジでしょ?……これは本当に試練だったわ。最終的には、私も折れて、女子選手と戦うことにした。だけど、今はかなりいい調子になっていると思うの」

クリント・ジェムソンは、19歳になる前にグランドスラムを6回制していた。だが20歳の誕生日を迎える2週間ほど前に肩の故障を被った。その故障により、それから2年近くの間、彼はスランプに落ちた。だが、24歳になるまでに、彼は元に戻ったのだった。それからたった1年後、今度はグレートチェンジが起き、彼は再び自分を作り直さざるを得なくなった。今、彼は、テニス選手としてよりは、元気のあるプリント絵柄の広告やモデル業で人気を博している。

[2014/09/22] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

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