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デス・バイ・ファッキング 第17章 (5) 


ディナー

私は、ジョアン・ウッドワードが子供だったらどんな顔になるか、考えたことはなかったと思うけれど、突然、あの4人の、ほぼ同じ顔の女の子たちと対面した瞬間、ああ、ジョアン・ウッドワードが子供だったら、こういう感じだろうなと思った。綺麗な、肩先までの長さのブロンドの巻き毛の髪。どの子も、歯が抜け変わる時期で、歯が欠けている。いずれも、この子たちの母親を子供にしたような印象。小柄で、すらりと痩せていて、そして美人。

すると茶髪の可愛い男の子がふたり、走って、部屋に入ってきた。この子たちには、父親の面影を見てとることができるだろう。ふたりとも、すでに、年上である娘さんたちと同じくらいの背の高さになっている。

6人も子供たちがいるので、家の中はカオスと混乱状態で、騒々しくて、神経が苛立つ状態になっていると思うかもしれない。でも、この子たちはほとんど声を上げなかった。女の子のうちふたりは、一言も言わなかった。もう一人はちょっと意見を言ったけど、基本的に物静かだった。

4人目の娘さんがコメンテーターの役割を担っているらしい。ダイニング・ルームに入ってきた時から、みんなが席に座るまで、ずっと、しゃべり続けていた。父親のアンドリューが表情で黙らせるまで、おしゃべりしっぱなし。アンドリューは何も言わなかったし、その子もアンドリューの顔を見たようでもなかったのに、不思議だった。ともあれ、アンドリューが黙ってほしいといった表情を顔に浮かべた途端、その子はぴったりとおしゃべりをやめ、その後になって、父親の方を向いて、ウインクしたのだった。アンドリューは不機嫌そうな顔をしようとしていたけれど、作った顔つきなのは明らかだった。その子の名前はエマ。

奥さんのひとりが、私をお子さんたちに紹介してくれた。

「みんな? こちらは、ヘレン・ギャモンさん。ヘレン? これが、うちのEガールとEボーイよ。男の子は、イーサンとエリック。テーブルを隔てて、あなたの正面にいるふたりは、イディとエディ。左側の子がイディ」

するとアンドリューが割り込んだ。「あ、ディ・ディ? イディは右側だよ」

「あらそう? まあ、どちらにせよ、実際、あまり問題はないわよね? ひとりに話しかければ、ふたりに話しかけてるのと同じになるから。そうでしょ、みんな?」

ディアドラが、テーブルの向こうの娘さんたちにそう訊くと、ふたりとも、同時ににっこり笑って、首を縦に振った。ふたりは互いの目を覗きこんで、くすくす笑い出した。

アンドリューがその娘さんたちに言った。「何か言いたいことがあるなら、みんなに言っていいんだよ。で、何を言いたいの?」

右側の子、たぶんエディだと思うけど、「いいえ」と言った。

左側の子は、イディかしら? 「パパ」と言った。

右側が「私たち」

左側が「何も」

右側が「言いたい」

左側が「ことなんて」

右側が「ないわ」

左側が「よね?」

アンドリューが子供たちを叱った。「ふたりとも、ルールのことは知ってるよね? ふたりで話す時には、単語を交互に言うのは禁止。それ、迷惑なんだからね?」

右側が「オーケー、パパ」

左側が「わたしたち」

右側が「もう二度と」

左側が「これ」

右側が「しませんから」

左側が「それが」

右側が「パパが」

左側が「私たちに」

右側が「求めている」

左側が「ことなんでしょう?」

アンドリューは顔をしかめた。「ああ、とても楽しいねえ! どうか、今夜はずっとその調子で文を続けてくれないか」

私はビックリして、アンドリューに尋ねた。「このお子さんたち、どうやって、今のを?」

彼は頭を左右に振った。「知りませんよ。双子というのは、こんな感じなのかも。このふたりは、テレパシーを使ってるんじゃないかと思う時があるんです」


[2014/09/29] デス・バイ・ファッキング 第17章 | トラックバック(-) | CM(0)

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