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3週間が過ぎた。マークはさらに11キロ体重が減った。嬉しくもあり、恥ずかしくもありの結果だった。
お尻は、いまだ丸々としていたものの、前よりぶよぶよした感じはなくなり、引き締まっていた。腰も大きく膨らんだまま。だが、ウエストはずいぶん細くなって、60センチになっていた。お腹はちょっと丸く膨らんではいるものの、脂肪はほとんどなくなっていた。肩や腕は細く、やなぎを思わせる。胸の乳房っぽいものは消えていた。だが、乳首は大きいままだった(乳輪は大きく、女性のそれに近かったし、乳首も6ミリくらいにツンと立っている)。
この3週間に渡って、ジェニーは彼にさらに衣類を買ってきていた。ショートパンツをもう2着ほど、それにTシャツも(すべてキャップ・スリーブ)。さらに、ズボンを何本かと、ピチピチのタンクトップ(肩紐は細い紐になっている)も買っていた。ズボンはお尻や太腿の部分がキツキツで、そこからふくらはぎにかけては緩くなっていくデザイン。だから、お尻周辺のからだの線がはっきりと見えていた。マークが下着がぜんぜん合わなくなっていると不満を言うと、ジェニーは翌日、Yフロントの下着(
参考)をいくつか買ってきた。これはマークのからだにぴったりとフィットしたものの、女性のビキニと非常に似たデザインのものだった。
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マークの声が変わってから3ヶ月ほど経ったある晩のことだった。彼とジェニーがベッドに入ろうとしていた時のことである。マークはブリーフだけを着た状態で、ジェニーの方はキャミソールとパンティの姿であった。ジェニーはベッドのシーツを捲りながら、顔を上げ、マークに訊いた。
「マーク? ちょっと訊いてもいいかしら?」
「もちろん、いいよ。何?」
「あなた、私のことを、もう魅力的と思っていないの?」
この質問にマークは驚いたが、すぐに答えた。
「いや、もちろん、魅力的だと思っているよ。君はゴージャスだよ」
実際、マークの言うとおり、ジェニーはゴージャスと言えた。背が高い体つき。やせいてはいるが、引き締まったからだ。何より、胸は素晴らしいDカップなのである。
「ただ、それだけなんだけどね。こういうことが夫婦には何度も起きるというのは知ってるわ。でも、私たち、もう3ヶ月近くセックスしていないのよ。それ、私のせい?」
マークはそう訊かれて、ちょっと答えに窮した。そんなにしていなかったのか? 確かにしばらくしていなかったのは、マークは知っていたけれど、彼は自分の問題に囚われていて、気がつかなかったのである。
「そんなことはないよ。僕のせいだよ。考えなくちゃいけないことがいっぱいあったから」 とマークは自分のからだを指差した。「僕を見てみて」
ジェニーは彼を見た。マークはジェニーが彼をどのように見ているか知っていた。実際、マークは彼女より小さい。そして、今の彼のからだは、(乳房はないものの)セクシーな20歳くらいの若い女の子のからだになっていた。
ジェニーも言葉に詰まったが、ようやく口を開いた。
「あなたがちょっと……ちょっと前と変わったからと言って、私たちができないということにはならないでしょう? 言ってる意味、分かると思うけれど……」
「分かってるよ。それこそ、僕が言おうとしていたことなんだ。ただ、他のことを考えていたということ。それだけなんだよ」とマークは説明した。
そしてちょっと間を置いた後、彼は笑みを浮かべて、言った。
「今夜、君にその埋め合わせをさせてくれ」
彼自身は男らしい自信にあふれた笑顔をしたつもりだったが、柔和で丸みを帯びた顔になっているので、その効果は台無しで、キュートな笑顔にしか見えなかった。
マークがベッドに這い上がるのを見て、ジェニーは、「いったい何を考えているのかしら?」と言いながら、自分もベッドに入った。
ふたりはキスを始めた。やがて、ジェニーの手がマークのブリーフの中に忍び込んだ。彼女は、マークの小さなペニスを握ると、ちょっと顔を離してキスを解いた。
「ああ、それ。……まあ、それも、これまでしてこなかったもうひとつの理由なんだけど………」
ジェニーは彼の唇に人差し指を立てて、彼を黙らせた。
「しーッ!」
そしてジェニーはベッドから降り、マークの腰を掴み、ぐいっと引っぱった。彼のからだは、両脚がベッドから垂れさがるところまで簡単に引きづられた。今のジェニーは、身体的に、マークよりずっと強くなっているのである。でも、不思議なことに、こうされることが自然なことのようにマークには感じられた。
ジェニーは彼のブリーフに手を掛け、引き降ろした。つるつるの無毛の脚をブリーフが降りて行き、彼の萎えたままの小さなペニスが露わになった。ジェニーは彼の脚を左右に押し開き、そのペニスを舐めはじめた。
マークは、確かに気持ち良いと感じたものの、分身は萎えたままだった。
どうしてジェニーはそんなことをしたのか、彼には分からなかったが、2分ほどしたら、彼女の指が彼のアヌスに触れるのを感じた。最初、何度か指の腹でそこを擦った後、彼女は言った。
「リラックスして」
言われた通りにすると、ジェニーの指が入ってくるのを感じた。
「すごく濡れてるわ……」
指を出し入れしながら、ジェニーはそう囁いた。それから何秒も経たないうちに、マークの小さなペニスは勃起したのだった。
「これ、気持ちいいのね? そうでしょ?」
その通りだった。彼は声を出さないように努めていた(なんだかんだ言っても、隣の部屋にテレンスがいるのだから)。だが、それでも、どうしても耐えきれず、何度か喘ぎ声を漏らしてしまうのだった。そして、ほんの2分しかたっていないのに、彼は絶頂に達し、精液をつるつるのお腹に撒き散らしたのである。
ジェニーはその液体を指ですくい、口に入れた。
「んんん……。これも前と違う味。ほとんど甘いと言ってもいいわ」 とジェニーは笑顔で言った。
マークがオーガズムから回復するのを受けて、ジェニーは、
「今度は私の番!」
と言い、マークのからだを抱え上げた。マークはキスをしながら、ほとんど本能的に、両脚で彼女の腰を包み込むように巻きつけた。なぜそうしたのか、彼には分からなかったけれど、それが自然なことのように感じられた。
すぐにジェニーはベッドの上、仰向けになり、マークは彼女にまたがり、キスを始めた。最初は首筋にキスをする。そうしてゆっくりと下方に移動し、鎖骨から、乳房へとキスをしていく。乳首には特に念入りにキスをした。さらに続けて彼女のお腹へと降りて行き、クリトリスにちょっとだけ、焦らすようなキスをした。その後、足首へと移動し、脚に沿ってじわじわと舐め上げ、太腿の内側にキスをする。
「そんな焦らしはヤメテ! あそこを舐めて!」
ジェニーはわざと怒った口調で言った。マークはにっこり笑い、早速、舌と指を使って作業を始めた。その2分後、ジェニーは腰を突き上げ、からだを震わせながら絶頂に達した。
そしてその2分後、マークは妻の両腕に抱かれて眠りについた。ジェニーは、何とはなしに、彼のお尻を撫でていた。
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