エマが割り込んだ。「パパ? テレパシーを使っていない時があると思う?」
アンドリューは警告を与える感じでエマを睨みつけた。「いいかげんにしなさい、エミー! 少なくとも君とエレはサーカスの変人のような話し方はしないだろ?」
エレが言った。「私たちは」
エマが「しないわよ」
エレが「だって」
「私の」とエマ。
「妹は」とエレ。
「とても」とエマ。
「むかつく」とエレ。
「んだもの」とエマ。
アンドリューは諦めた顔になった。「もうやめてくれ。いいね?」
この頃には、奥さんたちが料理を出していた。とても美味しそうな料理でもてなされて、私は驚いてしまった。美しく調理されたラム肉。ミディアム・レアで、何らかのソースがかけられている。お肉の横には、私には分からない何かの野菜とちょっとマフィンっぽいものが添えられていた。それも私には何だか分からなかった。でも、とても綺麗に盛りつけられている。
アンドリューは、怪訝な顔をした私の表情を読みとったらしい。「これはフィールド・ピーです。赤エンドウマメですね。それとトウモロコシを揚げたもの。これはラム肉の南部風に揚げた料理と言っていいでしょう。郷に入れば郷に従えという感じで……」
私は、怪訝な顔をして申し訳ないという感じで微笑んだ。
「これ、絶対、美味しいでしょうね」
実際はこの言葉とはちょっと違う印象を持っていた。本当に美味しそうということ。どの料理も本当に素敵だった。
食べ始めると、エマが私に身体を傾け、質問した。
「ギャモンさん? 誰か決まった彼氏はいるの?」
ちょっと、子供にしてはおませな質問だわねと思ったけど、正直に答えた。
「いいえ、今は何人かの彼氏と掛け持ちよ」
するとエマはさらに私に顔を寄せ、耳元に囁きかけた。「女の人ともつきあってるんでしょ?」
私は思わずフォークを落としてしまった。すごいショック!
アンドリューも驚いたとまでは言えないけれど、私が驚いたことに気づいた。
「エミー! 好きなことをしていいが、ここではダメ!」
「オーケー、ボス!」 とエマは答えた。その時の彼女は、本当に、無邪気さを絵に描いたような顔をしていた。