ウェイターが向こうに去るのを見ながら、俺はミセス・グラフの太腿を擦りながら、促した。「で、話しを続けて」
「暖かい風が吹いていて、波が強く岸辺に打ちつけていたわ。波音が大きくて、何も聞こえないほど。あなたのお兄さんと私は、板張り道を端まで歩いていって、そこで立ち止ったの。私はかがんでハイヒールを脱いだわ。その脱いだヒールを手に、からだを起こした時だった。お兄さんが私の腕を引っ張ったの。私は彼の胸の中に倒れ込む他なかった……」
「それから、ふたり、長い間ビーチを歩いていた。あたりには誰もいなかったわ。すると突然、彼が向きを変えて、私を連れて水際に歩き出したの。水際まで来ると、彼はちょっと立ち止まって、シャツを脱ぎ棄てたの。私も一緒にブラウスを脱いだわ。すると彼はかがみこんで、いきなり私を肩車したのよ。そして海へ入ろうとしたの。私は脚をバタバタさせたり、キャーキャー声をあげてはしゃいだわ。波の音がとても大きかったから、彼には私の悲鳴すら聞こえていなかったと思う。彼が何をするつもりなのか、考える間もなく、彼、私を海の中に放り投げたの」
ミセス・グラフは小さな声で語っていたが、胸元が上下に動くのを見て、興奮しているのが分かった。
「そして、何が起きたの?」 俺は手を彼女のスカートの中に入れ、柔らかいつるつるの太腿を撫でまわした。
「彼に海の中に放り投げられた後、呼吸をしようと海から顔を出して、周りを見回したわ。そしたら、あなたのお兄さんの姿がどこにも見えなくて、恐くなって悲鳴を上げたわ。360度、どの方向も見てみた。月は満月であたりは明るかったけど、どこにも姿が見えなかったの。その時、突然、何かが足首を掴むのを感じて、キャーッと叫んだ。何が何だか分からないまま、脚を海中に引っぱられて、私はまた水の中にもぐってしまったの」
俺は優しく彼女の柔らかな太腿を撫で続けた。ミセス・グラフは、すでに今は脚をぶらぶらさせていない。俺の優しい愛撫を楽しんでいるようだ。
「そしてどうした?」 と話しを続けるように、優しく太腿を揉んでやった。
「呼吸をするために、再び海面に顔を出すと、そこには彼が立っていて、私を笑っていたの。私はくるっと向きを変えて、彼を思いっきり突き飛ばしたわ。彼、足を滑らせて、水の中に顔まで沈んだ。私たち、それからも、押しあったり、水を掛けあったりした。延々と。そうやってはしゃぎまわっている間、彼、時々、私のからだに触れるようになった。最初は純粋に偶然、触れたんだろうと思っていたけど、彼が突然、私を掴んで抱き寄せた時、それまで優しくからだに触れていたのは計画されていたことだと気づいたの」
俺はパイをひとかじりし、コーヒーで流しこんだ。それから、再び彼女の太腿に手を置き、膝がしらから腰まで、軽く撫で続けた。
「それから、どうなった?」 と囁き、顔を近づけて、ミセス・グラフの耳に軽くキスをした。
「彼は私を抱いたまま。ふたりの顔が文字通り、触れそうになっていた。彼のからだの熱が私の皮膚を通して伝わってくる。主人を裏切れないわと、からだを離そうとしたけど、できなかった。そして……ふたりとも目を閉じ始め、そしてふたりの唇が触れあったの。ホテルの部屋で眠ってる主人のことを思ったわ。すぐに彼を振りほどいて逃げ帰りたかった。でも、実際にしたことはそうじゃなかったの。私は口を開いていた。あなたのお兄さんと一緒に。そして、彼は私の口の中に舌を差し込んできたの」
俺は、彼女の組んだ脚を優しく掴み、重ねた脚を降ろさせた。
「で? お前もキスを返したのか?」 と手を太腿の内側に滑り込ませた。