ジーナは笑顔で息子のところに近寄り、つま先立ちになってキスをした。彼女はあたしに背中を向けている。すぐにあたしの目は彼女の丸い若々しいお尻に吸い寄せられる。タイトなジーンズに包まれたプリプリのお尻。
ちょうどその時、クリスティが起きてきた。ぐっすり寝たのか背伸びしてあくびしながらキッチンに入ってきた。
「おはよう、おふたりさん。おはよう、ママ」 と眠たそうに言う。
あ、そう言えば、この状態はマズイかも。ドキドキして心臓が胸から飛び出そう。我が娘と息子の恋人の前に立っているわけだけど、もし、あたしの顔に息子が出したものがついていたらどうしよう? 息子が発射した時、首とかについていたら、どうしよう? 娘やジーナがそれを見たら? それがアレだと気づいたら? この子たちあたしをどう思うかしら? 淫乱女? そんなことを考えていたら急に困ってしまった。あたしはくるりと娘たちに背を向けて目を閉じた。落ち着かなくちゃダメ!
「で、あなたたち、今日は何をする予定?」 とクリスティが訊いた。
「そうねえ、ちょっとお買い物して、後でディナーを食べに行くかも。思いついたこと、何でも、かなあ?」 とジーナが答えた。
「ママ? 今夜、ジーナに家に泊ってもらってもいい?」 とトミーが少し気弱そうな声で訊いた。
あたしはまたくるりと前を向いて、答えた。さっきまでしてたことの痕跡が残っていないと期待しながら。
「ええ、いいわよ。ジャニイがOKなら」
「ああ、それなら、今朝、ママから許可を得たわ。気にしないって」とジーナが素早く返事した。
「やったー。じゃあ今夜はみんなで座って映画を観れるね」とトミーがつけたした。
「残酷な映画でなければね。ああいう映画はママは我慢できないの」 と、早くこの会話を終わらせられたらと願って答えた。
だって、内心は叫び出したい気持ちだったから。それほど欲求不満が募っていた。息子にフェラをしたのに、そのお返しを何もしてもらえていない。そのことから、何だか自分が安っぽくなったような気持ちになっていた。本当のことを言えば、息子に犯してもらいたくて、うずうずしていた。息子の逞しいオトコをあたしの中に突き入れてほしい。思い切り大きな声を上げてヨガリまくりたい。なのに今はジーナが息子を独り占めしてるんだもの! あたしはちょっと不機嫌になってキッチンを出た。できるだけ気持ちを息子たちに見せないようにしながら。
トミーとジーナが出かけた後、クリスティは友だちのバーブのところに遊びに行った。家にはあたしだけ。一日中、何もしないで過ごした。テレビを見たり、スナックを作って食べたり。そして考え事をしたり……どうしたら息子とまた結ばれることができるだろうって考えていた。
こんなふうに息子に心を占領されるなんて、どうしてなの? 自分でも理解できなかった。トミーはあたしの息子で、あたしには夫がいるのに……。息子や息子のお友達と行った数々の行為。そんなことをすべきではなかったはず。息子と肉体関係になるなんて! こんなふしだらな状態から抜け出す方法を考えなければいけなかった。でも、そもそも、息子とこういう関係になることは、あたしが求めたこととは違うはずと思った。じゃあ、何なの? あたしは何を求めているの?
その日は、時間が進むにつれてどんどん事態が悪くなっていった。お昼になったころ、エアコンが急に動かなくなってしまった。修理会社に数件電話を掛けたけど、少なくとも1週間後じゃなければ見に来てもらえないと言われた。今は真夏だというのに。真夏ゆえに、修理会社には何件も依頼が入ってるらしい。家の中がどんどん、どんどん暑くなってくる。なのにあたしには何もできない。
夜になってクリスティが帰って来たけど、すぐに自分の部屋に入って眠ってしまった。また、あたしだけポツンと独り。自分の状況を考え続けたまま。
あたしは、水風呂に入ってさっぱりし、お気に入りのナイト・シャツに着替えることにしようと決めた。その後でワインを開けて、ちょっと飲むことにしようと。こんなに暑いんですもの、ナイト・シャツの下にはブラもパンティもなしにしようと決めた。
水風呂に入って着替えた後、独りテレビを見ながらワインを飲んでいると、トミーとジーナが帰ってきた。時間は9時を回った頃。
「ママ? どうして? 家の中、やけに暑いよ?」 と入ってくるなり息子が訊いた。
「エアコンが壊れちゃったの。それに、どこに電話しても修理する人がいないって」
息子とジーナがちょっと変な感じがした。よく見てみると、ふたりとも酔っぱらってるのに気づいた。息子はふらふらしているし、ジーナは息子を支えようとしてるのか、ピッタリ密着している。
「あなたたちもずいぶん楽しんできたようね?」
「まだまだよ。夜は始まったばかり」 とジーナは笑いながら答えた。