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1時間後、マークとジェニーはモールにいた。その日、ふたりはショッピングをして過ごし、マークは新しい服をたくさん買った(特に目立った服というわけではない。ジーンズ、ショートパンツ、それにTシャツが大半であった)。ジェニーはスカートも買ったらと勧めた。そのスカートはミニスカートで、プリーツ風の(
参考)可愛いスカートだった。マークは試着した時、恐ろしいほどからだが露出してる感じがした。
それに新しいパンティもいくつか買った。大半がビキニ・パンティだったが、ジェニーは、いずれすぐにソング・パンティ(
参考)を欲しくなるんじゃないのと、数点、買うよう説得した(話しの先読みになってしまうが、彼女の言ったことは本当になるのである)。
そしてその後は靴である。マークの足は今は見るからに小さくなっている。ジェニーは、マークの足がもうこれ以上縮小しなくなった時、安手のトレーニング・シューズを買い与えていた。だが、それはマーク自身も認めていることだが、とても格好悪いものだった。そこで彼は新しくピンクのナイキ・シューズを買った。それから、ジェニーとふたりでいろいろなスタイルやタイプの靴を試着して、1時間近く過ごした。いろいろなヒール高のパンプスとかサンダルとか、さらにはパーティ用に意図されたストラップ式の可愛いハイヒールも試着してみた。ふたりに付き添った可哀想な店員は、死ぬほど駆けずりまわされたが、最終的にはふたりはハイヒールを2足ほど購入したのである。
マークに新しい衣装を買いそろえる仕事を終えた後、ふたりは家路についた。だが、ジェニーは(もちろん、彼女が運転しているのであるが)、家に帰る前に、もう一か所だけ立ち寄るところがあると言って、アダルト・ショップの駐車場に車を止めた。そこに立ち寄ることになったと知っても、マークは驚かなかった。むしろ予想していたと言ってよかった。店内に入ったふたりは、おどおどとした様子ではあったが、早速、アダルトグッズを見てまわり始めた。
「これなんかはどう?」 とジェニーは(太さが直径10センチはある)怪物のようなディルドを掲げ、笑った。マークは恥ずかしそうにクスクス笑った。
ジェニーはその後も何度か同じような冗談を繰り返し、最後に、とても細いバイブを取り上げた。
「じゃあ、これは?」
これにもマークは恥ずかしそうに頭を左右に振った。どうしてマークがこれを拒否したか、彼もジェニーも知っていた。これは小さすぎるのである。
結局、ふたりは3つの商品に落着した。ひとつは、18センチのディルド。ふたつ目は、可愛いピンク色のディルドがついたストラップオン(ジェニーに言わせると、これはリップスティック・レズビアン(
参考)には完璧にお似合いのデザインらしい)。そして3つ目は、黒い基本形の双頭ディルド。これらの商品をレジにもっていく時、マークは顔を真っ赤にしていた。
家に着くとすぐに、ふたりは買い物を開け始めた。マークは早速、着替えた。(どうしても我慢できなくて)ソング・パンティを選んで履いた。その上にジーンズ。腰のすごく低いところがベルトラインになるジーンズで、お尻をとても素敵に包んでる。上は黒いタンクトップ。彼が着替え終えたちょうどその時、テレンスが家に帰ってきた。
テレンスはマークの服装を見ても驚いた様子ではなかった。
「そういうことだったのか?」
マークは頷いた。
「だったら、いいけど」
マークが決心したことを説明すると、テレンスは、職場にもたくさんのボイがいることを明かした。
「ひとりいるんだが、彼のことを君に話したのを覚えているかどうか知らないけど、ビリーという名前のボイだ。まあ、ともあれ、彼はすっかり自信をなくしてしまったんだ。男性に対処することがまったくできない。僕たちが言うことに何でもはい、はいと、言うことを聞くだけ。前は重役だったんだけどね。会社でも最も野心に溢れた男だった。でも、彼は1ヵ月前に首になったよ。だから、いろんなことを考え合わせると、マーク、君は良くやってる方だよ」
「ありがとう」 とマークは皮肉まじりに言った。
「で、夕食は何?」 とテレンスが訊いた。
「知らないわ。あなた、何を作ってくれるの?」とジェニーが答えた。3人とも大笑いした。
3人とも料理をしたくなかった(もっと言えば、3人とも料理らしい料理ができるとは言えなかった)。そこで、彼らはテイクアウトを注文した。
食事をしながら、マークは、ジェニーとのベッドの下に隠したアダルトグッズが気になって、そればかり考えていた。
時間がだらだらと過ぎ、ようやく、就寝してもおかしくない時間が来た。
「ああ、疲れた。もう寝ることにするよ」 とマークは言い、ほのめかすような表情でジェニーを見た。
「ああ、私も」とジェニーも即答。
「オーケー、オーケー! 僕にも意味は分かるよ」 とテレンスは言い、残り物を冷蔵庫に入れた。彼が振り向いた時には、ボイも彼の妻も寝室へと姿を消していた。
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