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デス・バイ・ファッキング 第17章 (8) 

食卓の話題は他のことに変わっていたけど、私は、まだ、7歳の子供がコンピュータ・ゲームに仕掛けをするなんてことが可能だという事実にこだわろうとしていた。

奥さんのひとりが言った。「ジェイク? 私たちの提案について、考えてくれた?」

「ディアドラ? よく分からないけど、僕としては、執行人の役は嫌いじゃないよ」

私は会話に飛び込んだ。このジェイクという男、いい男だし、賢そうなのは確か。

「何の話なんですか?」

ディアドラと呼ばれてる方の奥さんが言った。「私たち、ジェイクに、私たちのビジネスの法律面を担当してほしいと頼んできてるの。かなり大きなことが私たちにどっと押し寄せてきていて、こっちの本拠地をカバーする必要があるのよ。法的に」

私は驚いた。「フルタイムの弁護士に扱ってもらわなければならないとは、いったいどんなことをしてるんですか?」

アンドリューが答えた。

「エディとエッダがいくつか製品を開発してね。それを市場に売りに出そうと決めたんだ。僕が思っている通りに最大級の開発になったら、ジェイクには法律関係のスタッフのマネジメントをしてもらうことになるだろう。個々の仕事については専門の法律家を雇うつもりだけど、法律関係の統括には、僕らが本当に信頼できる人物に担当してほしいからね。法関係の仕事はかなり膨大になる見込みなんだ……。だから、いいだろ、ジェイク! 楽しい仕事になるよ。麻薬のディーラとか交通違反者の相手には飽き飽きしてるんじゃないのか? マイクロソフトやソニーを相手にしたいんじゃないのか?」

私はただの雑文ライターなのは知っている。だけど、この話しは特ダネになるのは知っていた。

「マイクロソフトやソニーを相手にしなければならないようなモノって、何を開発したんですか?」

エマが言った。

「エディとエッダはコンピュータおたくなんだけど、5歳の時に新しいオペレーティング・システム(OS)を書いたの。ウィンドウズはクソ! それは、みんな知ってること。ユニックスは悪くないけど、やっぱり穴だらけ。それにアップルなんてプレーヤーですらない。私たち、安全なOSが必要だったので、エディとエッダが自分たち用に書いたの。それを見て、私は、それ、売ってもいいかもと思ったわ。そこでそのOSを売り物にするにはどうしたらよいか、教えたの」

7歳の子供の口からこんなことを聞かされてるなんて、信じられなかった。

「それ、どんなふうに動くの?」

エマはテーブルの向い側にいる姉妹たちを見た。まるで、代弁してよいか許可を求めているようだった。そして、ふたりのうちのひとりが、ほとんど感知できないほど小さく頷くのを見た。

「まず、そのOSは完全に安全。私、アレを何ヶ月も攻撃したんだけど、結局、ブレークできなかったわ」

アンドリューが割り込む必要を感じたらしい。「ヘレンさん、悪いが、この部分はオフレコで。ただ、これだけ言えば充分だろう。もしエミーがハッキングできないなら、誰にもハッキングできないだろう、と」

エマは続けた。「とにかく、それはハードウェアを自動的に認識するの。特にみょうちきりんなモノじゃなければ、ドライバも必要ないわ。どんな妙なドライバもOSが勝手に探しに出て行って、取ってきて、操作者の介在なしにインストールするの。ブラウザも必要ないわ。OS自体がブラウザだから」

アンドリューが割り込んだ。「そこなんだよ、ジェイク! マイクロソフトはインターネット・エクスプローラをウィンドウズに組み込もうとして訴えられた。僕たちも、OS内部にブラウザを入れたら訴えられるだろう。それが、僕たちが準備しておかなければならないことのひとつなんだ。もっとも、僕たちの方のOSにとってはブラウザは完全に一体化してるけどね。まったく継目がないんだ。どこからどこまでがOSで、どこからがブラウザか、分からないと思うよ」

エマは「黙っててよ、ほんとに!」と言わんばかりの目で父親を睨み、話しを続けた。


[2014/11/05] デス・バイ・ファッキング 第17章 | トラックバック(-) | CM(0)

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