何が起きたのか、ジョンが尋ねると、クリスティは啜り泣きしながら話し始めた。
「私 ……………… 家について …………… 寝室に入ったのね …………………… そうしたら、誰かが手で私の口を塞いだの! 私 ……………………… 私 …………………… 全部は覚えてないわ! たぶん ………………… あの時に私は気絶したんだと思う ………… 私 ……………… あの男の顔も見なかったから!」
クリスティにとっては、レイプされただけでも最悪なのだが、加えて、これから結婚しようとする人に、自分を犯した男の顔を見たと言うのは、辛くて、どうしてもできなかった。
言えない …………… ジョンには言えない …………… 彼は二度と私に触れたいと思わなくなるはず! レイプされただけでも悪いのに ………………………… なのに、犯した男が黒人で、あの恐ろしいモノを私の中に入れて …………………… 薄汚い体液を私の中に注ぎ込んだなんて ……………………… ジョンは私のからだに触れたくないと思うはず …………………… それに、彼がそう思っても責めるわけにはいかないもの!
ジョンの腕に包まれ、安心しつつも、クリスティは啜り泣きし、これから結婚する相手の男性に嘘をついたことに大きな罪悪感を感じていた。彼の胸に頭を乗せながら、クリスティは思った。この時点で、強引にジョンに挙式に向かわせることなどできないと。特に、自分が強姦され汚されてしまった以上、そんなことはできないと。
……ジョンにはもっと話さなくちゃいけない ………………… 嘘をついちゃいけないわすぐに気を失ったなんて ………… 私を犯した男の顔を見なかったなんて ……………………… あの邪悪な黒人に犯されたの …………………… 薄汚い大きな黒いモノを私の中に強引に入れて ………… そして私を犯した! もっと悪いこと ……………… 最悪なことは、私は感じてしまったこと …………… からだを犯されながら快感を感じ、達してしまったこと!
クリスティは泣きながら叫んだ。
「ジョン…………………… 私 ………………………… あなたが式をキャンセルしたいと思っても、あなたを責めたりしないわ! もし、あなたが私に ………………… 私に二度と……… 触れたくないと思っても、責めたりしない!」
そう叫びながらも、彼女は気を失う直前のことを思い出していた。精神が粉々になるようなオーガズムを感じ、エクスタシーに舞い上がっていた自分。からだの奥に埋め込まれた男のペニスが爆発的な噴射を始めると共に、何もかもが爆発したような感覚。
ふと、彼女は、自分が毛布にくるまれているのに気づいた。普段はクローゼットにしまってある毛布だった。それに、手脚を縛っていたロープも解かれているのに気づいた。
「ジョン? …………… あなたが帰って来た時 …………… 私、どんな格好をしてたの?」
「君は………………… 君は縛られていたよ ……………… 両手首と足首をベッドの支柱に! 僕は ……………… タオルで君のからだを拭いたよ! 警察にはどうしても電話できなかった。あんな姿でいる気味を警察に見せることなんかできなかったから!」
「でも ………………… でも、もし、君が、君にこんなことをした男の顔をちらっとでも見ていたら …………………その場合は、警察に連絡すべきだと思うよ、クリスティ!」
ジョンはクリスティがどんな反応をするかと思いながら、そう言った。彼女を抱きながら、ベッドに移動し、彼女の隣に横たわった。
「どんなことがあっても君のことを愛している! 今回のことは、君にはどうしようもなかったことなんだ」
それを聞いて安心し、クリスティはジョンに抱きついた。
「ああ、ジョン ……………… あなたを愛しているわ!」
実際はあの男の顔を見たのだが、彼女はそれを打ち明けられなかった。
「何もかもぼんやりしているの! いつ気を失ったのか、ちゃんと思い出せないの …………………… でも、私にこんなことをした男は見なかったわ! ……………… いま思い出せるのは ……………… ベッドに横にされていたこと …………………… 何も見えなった ………………… あの男 …………… 私の顔にまくらを乗せて塞いだから …………………… それから…………… それからからだを縛られたの!」
ジョンにはクリスティが嘘をついてるのが分かっていた。クリスティは、巨体の黒人男に犯され汚されたことを悔やむあまり、真実を語れないでいるのだろうと知っていた。その一方で、邪悪な快感が彼のからだの中に沸き起こり、次第に股間が盛り上がってくるのを感じていた。
「何か他のことを覚えていない? 男の腕や足や顔の一部とかが見えたりとか? そいつな何か言わなかった? …………… 変わった訛りとかなかった? ………………………… そいつの人種は? 白人か、ヒスパニックか、アジア系か ………… 黒人とか?」
ジョンは答えを知っていたが、尋ね続けた。だが、問えば問うほど、クリスティの啜り泣きが激しくなるので、彼は質問をやめ、これ以上、彼女に嘘をつかせないことにした。