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2週間ほど経った。ブランドンは日増しにからだが弱くなっていた。彼は、からだが小さくなっているのは知っていたが、どれだけ小さくなってるのかを知った時には心底驚いた。
シンディの家に遊びに行った時、キッチンでふたりで並んで立っていた時に気づいたのである。今はシンディとの身長差は5センチもなくなっていることに。少なくとも30センチは背が低くなっていたのだった。
それに気づき、ブランドンは急いで言い訳を言って家に戻った。そして浴室の体重計に乗ってみた。
72キロ。23キロも体重が減っている! 彼は素早く裸になり、鏡で自分の姿を見てみた。
どの部分で体重が落ちたのか、ひと目でありありと分かった。筋肉がなくなっているのだ。しかも、ヒップが膨らんでいるように見えた。その一方でウエストはどっちかと言うと細くなったように見える。後ろを向いて、お尻を見てみた。……「丸みを帯びている」という言葉しか頭に浮かばなかった。
あの博士の予言がすべてその通りになっている。ブランドンはうつむき、股間に目をやった。そこも4分の1ほど小さくなっていた。がっかりしたが、予想通りで、驚きはなかった。
ブランドンは崩れ落ちるように床にへたりこんだ。両膝を胸に抱え、座り、今までなかったほど大泣きに泣いた。彼の女の子のような啜り泣きの声が、浴室の壁にこだました。
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さらに1ヵ月がすぎた。ベル博士が言ったことが現実のものになることは誰の目にも明瞭になっていた。いまやブランドンは身長は163センチ足らず。体重も50キロに落ちていた。ウエストはきゅっと細く、ヒップは見事に膨らんでいた。お腹は女性的な丸みを帯び、そしてお尻はそれ以上に丸く膨らみ、見る者の目を楽しませている。乳首も大きくなっていて、エッチな気分になると、ツンと勃起し、1センチ弱くらいの大きさになる。
だが、奇妙な言い方に聞こえるかもしれないが、変化の中で「最悪」だったのは、彼の顔つきだった。以前のブランドンは精悍で一見荒くれ者っぽいハンサムな顔つきをしていた。角ばった力強い顎が特徴的だった。だが今の彼は、もはや、そういう形容はほとんどできない。彼の顔つきを表現するのに最も適切な形容詞は、「可愛い」や「キュート」であって、決して「ハンサム」ではない。「荒くれ者的」から最もかけ離れた顔になっているのは確かである。
体毛すらすっかり消えていた。そして、ペニスはというと、元の姿の見る影すらなくなっていた。完全に勃起しても8センチに届かないのである。
このようなからだではアメフトができないのは明らかだった。彼は大学の奨学金を諦めざるをえなかった。
自分の身に起こったそんなもろもろのことを思いながら、ブランドンは体育の授業に備えてロッカールームで着替えをしていた。下着を脱ぎ、今となっては大きすぎるし、完全に意味を失っているスポーツ用サポーターにつるつるの脚を通した。彼は何か視線を感じ、後ろを振り向いた。そこには一群の黒人生徒がいて、彼のことをじろじろ見ていた。彼らはブランドンの元のチームメイトたちだった。
彼らはそれぞれ着替えの途中の状態でいたが、ブランドンには、連中の大きなペニスの輪郭がはっきり見てとれた。ブランドンはすぐに元に向き直ったが、不思議だったのは、向き直った後、お尻の穴がキュッキュッと収縮し始めたことだった。その後、そこが湿っぽくなるのも感じた。ブランドンは素早く着替えを済ませ、ロッカールームを出たが、連中のひとりがこう言ったのは間違いないと思ってる。
「エロいなあ、あいつ。ヤッテよって言ってるようなもんだよな、絶対!」