と言うわけで、ブランドンはシンディとモールの中をぶらぶら歩いていた。彼は、なんとも居心地の悪さを感じていた。彼の服はどう見ても男性服だった。もはや、大人の紳士用の服を着ようと思っても、サイズが合わず、彼は小学校時代に着ていた服を着ることにしていた。そして、今日は、バギーのブルージーンズとTシャツの格好でいた。彼は、Tシャツの薄い生地ごしに乳首がはっきり見えてることが気になって仕方がなかった。
モールを歩きながらどちらに目を向けても、ボイたちの姿が会った。みなそれぞれ様々な服装をしていたが、紳士服と言えそうな服を着ている者はひとりもいなかった。ショートパンツに、細い肩ひものタンクトップ姿のボイや、お尻がはみ出そうなタイトなジーンズを履いたボイ。さらには、ミニスカートを履いてるボイすらいた。
「そうねえ、まずは手始めに、新しい下着から買わなくちゃいけないわね」 とシンディは言い、ふたりでランジェリー店に入った。
最初、ブランドンはちょっと恥ずかしがっていて、「見て、このキュートなパンティ!」とか「あのブラ、素敵だわ!」と指差しながら言うシンディの後をついて歩くだけだった(ボイには乳房はなかったが、その店は、ボイが勃起した乳首を隠せるようなブラを売りだしていた)。
しばらくするとブランドンも慣れてきて、シンディが指差すランジェリについてコメントを言い始めた。そして、ふたりが選んだランジェリがちょっとした山盛り状態になるまで、さほど時間はかからなかった。ふたりが店を出た時、新しい下着で縁までいっぱいになった紙袋が4つもできていた。
次にふたりが訪れた店は総合服飾店で、ふたりはジュニア用の衣類売り場に直行し、多様な種類の衣類を購入した。ショートパンツ、腰骨に引っかけるタイプのジーンズ、お腹が露出するような丈の短いシャツ、さらにはスカートやドレスも選んだ。
店員の女の子が、ブランドンに、買った服のいくつかを着たまま店を出たらいかがですかと言った。そこでブランドンは試着室に向かった。彼は試着室のブースに入るとすぐに、服を脱ぎ、中の全身鏡で自分の姿を見てみた。
この2週間ほどはあまりからだの変化はなかった。けれども、いまだに彼は鏡に映った自分の姿を見て驚いてしまう。今は身長はたった157センチ、体重も47キロ足らず。ペニスも柔らかいと2センチ半がやっと。勃起しても5センチほどにしかならない。首から下は完全に無毛で、肌は柔らかくつるつるに見えるし、触ってもそんな感触だ。
姿勢すら変化していた。立つときは、若干、背を反らす姿勢になっていて、ほとんど無意識的にお尻を突き出す格好になっていた。立つとき、無意識的に両手の手首を曲げてしまうので、意識的にそうしないよう注意しなければならなかった。
彼は後ろ向きになってお尻を鏡に映してみた。
ブランドン自身、自分のお尻がシンディのお尻に匹敵する、あるいは、それ以上であると認めざるをえなかった。お尻の頬を持ち上げ、手を離して落としてみた。楽しいくらいプルプルと揺れる。お腹までも変化していた。若干、丸みを帯びてるようだった。女の子のお腹のように。
ブランドンは溜息をつき、ランジェリの入ったバッグをひとつ開けた。中からあてずっぽうにパンティを取り出した。薄黄色のパンティで前のことろに小さな花模様がついていた。彼はそれにつるつる肌の脚を通した。
最初だから、冒険はしないことにした。スカートとか派手に目立つものは着ないことにした。普通のショートパンツと、青と紫の縞模様のTシャツを選んだ。
ショートパンツに脚を通し、履いてみた。お尻がキュッと包まれる感じがした。履きなれていた短パンよりはかなり丈が短い感じだったが、充分、履き心地は良かった。Tシャツの方はきつめだった。ジムの運動着と同じく、キャップ・スリーブ(
参考)のデザインだった。生地の下から乳首がツンと立ってるのが見えた。そして、足にはつま先部分が開いた可愛いサンダルを履いた。
ブランドンは鏡に映った自分の姿を惚れ惚れとして眺めた。ショートパンツの中、彼の小さなペニスがほんの小さく盛り上がりを見せているのに気づいた。Tシャツの裾はパンツのところまで達していなかった。そのため、おへその下のあたりに、ちょっとだけ肌が露出していた。
ブランドンは持ち物をまとめ、試着室から出た。シンディはちょっとがっかりした顔をした。
「ああ、それとは違うのを着ると思ったのに。あのとっても可愛いスカートとかを」
ブランドンは肩をすくめた。「言うことはそれだけ?」
シンディは、「そうねえ、もう一か所、行くところがあるわ。でも、そこはこのモールの中じゃないの」と答えた。
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シンディはどこに向かってるか、ブランドンに言わなかった。なので、車が「ギフト・スポット」と言う名のアダルトショップの前に停まった時、多少驚いた。彼は文句を言ったが、シンディは強情に譲らず、結局、ふたりはその店に入ったのだった。
カウンターにいた女性が「あなたたち、18歳?」と訊いた。ふたりが頷くと「身分証を出して?」と言った。
シンディとブランドンが身分証を手渡すと、その女性はブランドンの顔と身分証を二度ほど見返した後、肩をすくめ、ふたりに返した。
そして 「欲しいモノが見つかったら教えて」 と言い、それまで読んでいた雑誌に戻った。
店の中を歩き回りながら、ブランドンとシンディはくすくす笑いながら店の中を歩き、商品を見て回った。最後にふたりは、シンディが探し求めていたモノの前に来た。大きな黒いディルドである。ブランドンは、それが何のための物かは知っていたが、何か問いたそうな顔でシンディを見た。
「私、考えていたの……今はボイたちは女の子のようになってるのは知ってるのよ。それにあなたにプレゼントを買ってあげたいと思っていたの。……こんなのいらないと言うなら、それはそれでいいわ。でも、私には分かるのよ。何と言うか……」 とシンディは最後まで言わなかった。
ブランドンはバイブを使った時のことを思い出していた。彼は肩をすくめ、「いいんじゃない?」と言った。
シンディはそれを聞いて興奮し、ほとんど悲鳴に近い声をあげ、ブランドンに抱きつき、頬に軽くキスをした。
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