「Girlfriend ガールフレンド」 by deirdre
あの声は、はっきりしていた。何が起きてるか誤解する可能性はゼロ。あたしは、ちょっと面白半分に、ママの方を見た。
ママと一緒に家に戻ってきたところだった。そうしたら、家の中、ふたりがアレをしている声が響き渡っている。ママはパニックになったみたい。あたしの純真さが今にも崩壊しそうになってるとかと。
「自分の部屋に行って!」 とママは必死な声で言った。でも、大きな声じゃなかった。あのふたりに聞かれたくなかったみたい。
「ママ!」
「いいから、行って!」
ママが焦りまくってるのが分かった。もはや、声を小さくしておくこともできなくなってる。別にママはあたしに腹を立てているわけじゃない。ただ、何と言うか、あたしが、アレをやってるふたりの声を聞くのを防ぎたいと思っているだけ。
あたしは部屋に行った。
「ちゃんとドアを閉めて!」 それがあたしが部屋に入る前に聞いたママの最後の叫び。
あたしは言われた通りにドアを閉めた。
ようやく! 部屋に入って、あたしは堕落とモラル崩壊から守られた状態に戻る。兄のビルと、兄の彼女のケイトのふたりにモラルを崩壊されることから守られた。ドアを閉めていても、ママがビルの部屋に行く足音はちゃんと聞こえた。
ケイトはスゴイ人。兄がケイトと付き合い始めてから1週間しか経っていないし、兄も彼女を家に連れてきたのは2回ほど。ケイトは背が高くてほっそりしている。そしてとてもセクシー。いつも黒いストッキングとミニスカートを着ている。にっこり笑ってフレンドリーになる時もあるけど、ちょっと意味ありげな目つきをすることの方が多い。あの表情を見ると、彼女は何か企んでるんじゃないかと思ってしまう。ある意味、ケイトとビルがアレをしててもあたしは驚かなかった。ケイトは、自分からそそのかすことはないにしても、喜んでアレをしたがってるようなタイプの人に見えるから。
ベッドに仰向けになって考えた。もうあの声は聞こえない。でも、ママは、まだあたしにもう部屋を出てもいいわよとは言ってない。
部屋を出ようかと思ったけど、それはやめて、しばらく横になったままでいて、事態が落ち着くまで待とうと思った。夕食ができたとかといった何か大事なことがあったら、ママが呼ぶだろう。それまでは横になって考えごとを続けよう。
普通は、あたしは、兄とガールフレンドとのセックスについてなんて考えたりしない。ビルはかなり前からヤッテるかもしれないとは思ってた。何年も前からヤッテたかも。
でも、それで言えば、姉のエレンについては、彼女がセックスするところなんて想像すらできない。姉がケンと結婚して3年になるのだけど。
その時、外で物音がした。窓のところに行くと、ビルが歩いて行くのが見えた。もう家の中を歩き回っても「安全」になったと思ったけれど、でも、あたしはママのことがちょっと不安だったので、ベッドに戻って、もうちょっと横になってることにした。
そうそう、姉のエレンのこと。エレンがあたしよりも男性のことについて知ってるなんて、とても想像しにくい。エレンが男性と一緒にいるところ? 彼女はそんなタイプでは絶対にない。バカげた考えだとは分かっているけど、あたしの中には、エレンとケンは一度もアレをしていないんじゃないかと思ってるところすらある。
あたしはベッドに横になりながら、ひょっとして、ママはあたしに部屋に入っていなさいと言ったことを忘れてしまったのではないかと思い始めていた。
もう部屋から出て行っても大丈夫なのは分かっていた。……何も起きていないようだったし、ビルも家を出てるわけだから、部屋を出ても、ママが兄に説教してる真っ最中ということはありえない。ケイトの姿はまったく見ていなかった。
あたしは起き上がって、ドアを開けた。何も音がしない。部屋を出て、キッチンに向かった。ビルの部屋の前を通り過ぎるとき、ドアが少し開いているのに気づいた。ちょっと、中を覗きこんだ。部屋の中にはママがいた!
ママは裸だった! というか、ブラしかつけていない! 裸のまま、部屋の真ん中に、あたしに背を向けてじっと立っている! お尻も含めてカラダが丸見え! ビルの部屋なのに!
ハッとして素早く、音を立てずに身を引いて、隠れた。いったい何が起きてるの? 心臓がバクバクしていた。もう一度、音を出さないようにして、部屋の中を見てみた。まだ、立っている。同じ格好で!
注意深くドアの向こう側の方を覗きこんだ。ケイトもいた! ママの後ろ、ビルのベッドに座っている。あたしの方には顔を向けていない。ケイトはブラウスを着て黒いストッキングは履いていたけど、スカートは履いていない。
するとケイトはママのお尻に手を伸ばして、脚の間に指を滑り込ませ、擦り始めた! ママが呼吸を荒げて、肩を上下に動かし始めるのが見えた! 見ている光景が信じられなかった!
あたしは、またドアの外へと身を引い。そこに立ちつくしていた。心臓が高鳴っていた。何とか呼吸を鎮めようとしていた。
気になって、またドアの中を覗いた。ママの息づかいは前より荒くなっている。なのに、まだ、同じ姿勢で立ったままでいた。
あたしは静かにビルの部屋を去り、自分の部屋に戻った。静かにドアを閉めて、ベッドに戻り、ごろりと横になった。
天井を見つめた。
ビルとケイトがエッチするところを想像するなんて、今のことに比べたら、何でもない! いったい何が起きてるの? ママは、アレをしてたビルとケイトに腹を立てていたはず。少なくとも、あんなに大きな声を上げてヤッテいたことに怒っていたはず。
考えてみれば、ママがセックスするということを真正面から考えたことがなかった。ママは男の人とデートすること自体、めったになかったし、デートしても普通は気軽で、無邪気なデートばかりだったから。なのに、女の人とアレをしていたなんて! ママがしそうなことで、一番、予想できない出来事だった!
部屋のドアが開いた。振り返ると、ケイトがいた。ケイトはあたしのベッドに近づいてきて、あたしを見おろした。
「しっかり見たようね」
ケイトはあたしが見たのを知っていた。あたしはじっとケイトを見つめた。
「見たことを考えているのね?」 と彼女は微笑んだ。
あの独特の笑み。何かを隠しているような、それでいて、邪悪な秘密を教えているような笑み。矛盾の笑み。ケイトの笑顔を見て、あたしは不安になった。
「心の準備はできた?」 とケイトはあたしのベッドに腰を降ろした。
何を言ってるのか分からなかった。
ケイトは身体を傾け、あたしの顔の真上に顔を近づけてきた。あの謎の笑みを浮かべたまま。
彼女の唇があたしの唇に触れた。あたしはケイトを押し戻そうとはしなかった。かと言って、あたしからキスをしてるわけでもなかった。ただ、押し戻そうとはしてなかっただけ。どうして、あたしは彼女を押し戻そうとしていないの?
ケイトは身体を起こして、あたしから離れ、座りなおした。まだあの笑みを浮かべている。あたしは、再びキスされるのを待っていた。次にキスされたらどうしよう?
でもケイトはキスをすることはなかった。立ち上がって、「まだまだシャイなのね」 とそう言い、部屋を出て行った。さっきと同じ、ブラウスとストッキングだけの格好。あたしは、部屋を出て行くケイトの身体を見ていた。どうしてあたしは彼女の身体をこんなに熱心に見つめているの?
あたしはベッドに横になって、考え続けた。外は暗くなってきていたけど、まだ夜には早い。家の中、人が入ってくる音が聞こえた。ビル? それともエレンとケン? 話しをしている声が聞こえた。あたしは横になったまま。
多分、そのうち、ママがあたしを呼び出すはず。その時、ママに目を合わせられるかしら? ママはあたしが見ていたことを知らないはず。でも……ママが本心からあたしに知られたくないと思ったなら、あたしがいる家の中で、あんなことをするなんて、すごく危険なことじゃないかしら。
あたしは待ちくたびれてしまい、起き上がった。日が沈み、電気もつけていなかったから、部屋は暗くなっていた。
ドアを静かに開けてみた。廊下も暗かった。部屋から出てみた。ビルの部屋のドアは開いていた。中には誰もいなかった。
暗い廊下を歩き続けて、ダイニングに入った。
みんなはそこにいた!
自分の目が信じられなかった!
5人とも裸! ママはブラだけを着けていたけど。でも裸同然!
ママは床に四つん這いになっていて、その後ろにケンがいた。膝立ちの姿勢で、後ろからママにヤッテいる!
そのママの前にはビルがいて、同じように膝立ちの姿勢。ママの口にアレを入れてる!
ケンとビルは前と後ろから、ママにぐいぐい出し入れを続けていた。
ケイトはというとダイニング・テーブルの端に座っていて、その脚の間にはエレンがひざまずいていた。ケイトのあそこを舐めている! しかも両手を後ろ手に縛られていた!
ケイトがあたしを見て、にっこり微笑みかけた! テーブルの横に置いてあった鞭を取って、その握りであたしにエレンのお尻に来るように指図した。
あたしは自分の部屋に駆け戻った。そしてベッドに倒れ込み、天井を見つめた。いま見た光景が本当に信じられない。あたしはズボンの前から中に手を滑り込ませ、指であそこをいじり始めた。
おわり