でも、リリスの話しを聞きながら、あたしは別のことを考えていた。
「胸の形が変わったりしないなら、母乳を出さないで放っておいてもいいいんじゃない? つまり、いちいち絞り出さなくてもいいって。違う?」
そう言って、また、頭を下げて大きくなった胸を見おろした。いろいろ問題が出てきたけれど、やっぱり、この胸すごく形がいい……。
「ふーん、あたしならそんなことしないけどね」 とリリスは不吉な返事をした。
「どうして?」
「そのおっぱい、6時間くらい前にあんたにあげたんだけど、いま、どんな感じしてる?」
訊かれるまで、気づかなかったけど、言われてみて、ちょっと痛くなってるのに気づいた。そんなひどい痛みじゃないけど、何だか圧迫されてる感じ。バスルームで感じた、あの、溜まってるものが放出されたような快感って、この圧迫感からの解放だったのだ。
「ほったらかしにしたら、どんどん痛くなるということ?」
手で片方の乳房を持ち上げて、ちょっと揺すってみた。重くなってる感じがしたし、前より痛くなっている。
「たぶん、しばらく痛みが続くでしょうね。でも、でも、別に何かしなくちゃいけないってわけじゃないわよ。意図的にミルクを絞らなくても、いずれ出てくるから」
「つまり、漏らしちゃうってこと?」
「ちょっとね」
リリスがあたしを笑ってる感じがし、あたしは顔が真っ赤になった。
「でも、そんなミルクをどうしたらいいの? 飲むとか?」
「飲んでもいいんじゃない? 害にはならないわよ。正直、あたしはどうでもいいけどね。ちゃんとうまくいってるか確かめるために電話したんだから。ま、多かれ少なかれ、あんたが求めたようになってるようね。もう、出かけるからね。今日はすごく忙しいんだから」
リリスは急に退屈そうな声になった。
「多かれ少なかれってどういうこと? 胸をこんなふうにしたいとは思ってなかったって言ったでしょう?」 あたしは必死になって訴えた。
「あのねえ、ラリッサ。さっきも言ったけど、願い事をする時には注意するのよ。それ、知っているべきだったのよ。そんなにそのおっぱいが嫌いなら、今夜の2回目のお願いの時に、それをなくしてくれって頼みなさい。でも、その前に、その大きなおっぱいをちゃんといじりまわしてみたら? 気に入るかもしれないわよ」
そして、電話を切る音がした。
あたしは、しばらく茫然としていた。いったいどうしたらいいの? こんなの正常じゃない。
そしたら急に胸の圧迫感が増える感じがし、胸元に目をやった。いまだに、この胸を見ると、その大きさや形の美しさにうっとりとしてしまう。だけど、母乳についてはどう思ってよいか分からなかった。ものすごく変! ふたつ目のお願いで、この胸を元通りにするか考える必要があった。でも、そんなの、せっかくのお願い事なのに、無駄遣いすぎる! ダメダメと頭を振った。それに合わせて、いっそう胸が痛くなった。
「たとえ今日一日だけでも、この状態、無視できないわ」 そう独りごとを言った。
この乳房をなくすかどうか、いまの時点で心配しても意味がない。ともかく、どんどん張ってくるお乳のことを何とかしなければ。
持ってるブラは全部あわなかったので、代わりに大きめのTシャツを着た。そのシャツは、前までは大きかったけど、乳房ができた今は、身体にぴったりな感じで、胸の丸い盛り上がりをゆったりと包んでくれていた。
一応、上半身も服を着た状態になれたので、安心して廊下にでた。ウェンディの部屋のドアは閉まっていた。これは幸い。シャツの中、胸を軽く弾ませながら、キッチンへと進んだ(もっとも、胸が弾むたびに張った感じがひしひしと伝わってくるんだけど)。
キッチンに入り、引き出しの中を漁り始めた。そして、あたしが前にフットボールの試合を観に行った時に、お土産として買ってきた大きなプラスチックのカップを見つけた。大きなカップで1リットルくらい入るヤツ。
それを部屋に持ち帰ろうと思ったけど、部屋の方向に振り返った時、急に強烈な圧迫感が襲ってきた。胸元を見ると、シャツの前に小さな濡れた染みがふたつできてる。ああ、漏れ始めているんだ!
部屋に戻ってる時間がなかった。後ろを確認して、絶対に誰も見ていないとチェックした後、素早くシャツを脇の下まで捲り上げ、胸を露出した。左右の乳首に、それぞれ白い滴が出てきているのが見えた。
その滴は見る間にどんどん大きくなって、やがて、ひとつがこぼれ、乳房の丸い肉丘を伝って、下に落ちた。
気持ちいい! 圧迫感からちょっとだけ解放される感覚!
でも、こんなことしてたら、床をびちゃびちゃにしてしまう。急いで行動する必要がある。
大きなカップをキッチンのカウンタに置いた。そうして、ちょっとしゃがむ格好になって、左の乳房がそのカップのところに来るようにし、強く絞った。さっき洗面台の前でやったより、ずっと強く絞った。
「あああ、いいッ……!」
無意識に喘ぎ声が出ていた。あたしの乳房から、白いミルクが、それこそジェット噴流のようにビューッと撃ち出てきて、カップの中にシュワーっと入っていく。
この感覚、信じられないほど強烈だった。それに、ものすごく気持ちいい。もう一度、今度はちょっと注意深く絞った。温かいミルクがあたしの身体から出てくる。またも快感に喘ぎ声を上げていた。
この快感、もはや、否定しようがなかった。単なる溜まっていたものを解放する感覚だけではない。本当の意味での満足感。それに、性的な快感も確実にある。
もう一度、揉んでみた。3回目。ぎゅっと握りながら、膝ががくがくしていた。それに、間違いようのない湿り気が脚の間に広がってくるのを感じた。声を出さないよう下唇を噛んで、もう一度、揉んだ。今までで一番強く。