ドッティは、依然として、できる限り早い時期にダニーに面会しなければならないと、警告した。
「彼・・・いや、彼女は、重大な性犯罪の現場を目撃した証人であるのは変わりないのです。もっと重要なこととして、彼女は危険な状態にある。私たちが例のデジタル画像に彼女の姿が映っているのに気づいたとすると、犯人たちも気づくかもしれない」
私はその点を考えていなかった。
「うちのユニットに、あなたの家をしばらく警戒させますね」
私は息を飲んだ。
「まさか彼ら、また戻ってくることはないですよね? つまり、私は、あの2人が家にきて、翌朝、目を覚ましたら頭痛がしててあそこがヒリヒリしていたと、それしか証言できないわけですから・・・」
「ええ、その通り。でもダニーは違います。連中はダニーが失踪したことを知らないでしょう。連中が知っているのは、彼女が、行為を行っている2人を目撃したことだけ。そして、彼らに不利になる証言ができるかもしれないと睨んでいる。連中は、また、現場に戻って、ダニーを黙らせた方が良いと判断するかもしれない。それに、もし、そこにあなたがいたら、ダニーに加えてあなたも黙らせると」
そのことも考えていなかった。ぞっとする可能性だった。そして、次に私の頭に浮かんだことも、同じくぞっとすることだった。
「警察は、私たちをおとりとして使うつもりなの?」
ドッティは微笑んだ。だがその笑みでは疑念は消えない。
「そういう風にはならないとは思います。でも、当面は、あなたのお家を見張らせてください。クリステン? これは、この一連の事件が発生してから、私たちが手にした最も大きな手がかりなのです。あなたやダニーを不安な状態で置き去りにするつもりはまったくないのですよ。でも、この蛆虫どもを公の場に引っ張り出すチャンスがあったら、私たち警察はそのチャンスをつかまないわけにはいかないのです」
このようなことを頭から消す最良の方法は、ごく普通の日常の仕事に没頭することだった。私の上司のハリーも、会社の他の人たちも、皆、固く私の応援をしてくれた。ハリーは、私の身にこんなトラウマとなる出来事があった後に、夫がどうして家を出て行けるのかと理解できずにいた。ハリーには「ダニー」のことを話していない。だから、彼には警察で話したことと同じ説明のうち、好ましくない部分を除いた部分を繰り返して説明した。ハリーに説明するとき、私の求めに応じて、ベスとジャッキーとグウェンの3人が同席し、私の後ろ盾になってくれた。ハリーは理解はしてくれたが、依然として、ダニーのことを「男らしくない」と思っていた。そもそも、夫婦のベッドでそのようなことが起きているのに、それを放置するとは、男として考えられないと。その時は、ハリーに反論し、言い負かす方法はなかったので、ハリーの言うままにさせておいた。