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報復 第2章 (2) 

「ああ・・・ええ、ロイド、僕も率直になることにしましょう。僕がバーバラとデートしていた時期に・・・そして、僕たちが乾坤した後も・・・ダイアンが僕について言っていたこと、それを僕は耳にしたわけですが、その時のダイアンの言葉を考えると、その、あなたがたが『僕の状態のことを考えている』という言葉がどこから出てきたのか、正直、分からないのですよ。でも、その点はさしあたり、気にしないことにしましょう。・・・でも、バーブと僕は、『誤解』などしていないんですよ、ロイド。僕は彼女が他の男と浮気をしている現場を押さえた、そして、僕は、それを見過ごすつもりはないということなんです」

スティーブはそれ以上、言わなかった。義理の父の方が、会話を進めたかったら、話せばよい、と相手の出かたを待っていた。

「分かった・・・それで・・・スティーブ・・・いずれにせよ、こちらに来て私たちと話すことはできないかな? 誰も断定的に話したりしないと私が約束しよう。私たちは、これが解決することだけ、それだけを求めているんだ。どうだろう?」

ロイドの声には、嘆願する調子があった。スティーブは、この年配者はかなりのストレスを感じているのだろうと推測した。

「お断りします」

スティーブはきっぱりと返事した。そして間をおく。

「・・・ですが、もし、話し合いをなさりたいなら、あなたがこちらに来てください。今から1時間ぐらいなら、僕はここにいますから」

「私は・・・」

電話の向こう、つぶやき合う声が聞こえていた。長い沈黙の後、返事が来た。

「オーケー、スティーブ・・・そうしよう。すぐにそちらに行く」

「分かりました・・・あっ、・・・それと、バンに乗ってきて下さい。こちらにはバーバラの持ち物がたくさんあるんです。それを持っていってもらいたい」

「いや、でも・・・いや分かった・・・バンで行くよ」 

ロイドはすぐに返事した。電話で、改めて議論を繰り返すのはしたくなかったからだ。

「数分で、そっちに着くと思う」

********

スティーブは、彼の妻と義理の親族たちが入ってきた時、無表情の顔を続けるよう、注意を払った。バーバラは家の中を見回し、この1週間にスティーブが変えたことすべてを確認した。消えている写真、消えている小物に気づくたびに、彼女の口元が固くなった。スティーブは義理の父と握手をし、義理の母のダイアンに頷いて挨拶した。彼は義理の母であるダイアンには近寄ろうとはしなかった。ダイアンはそのわけを知っていた。

スティーブの瞳には、バーバラに対して歓迎の表情は一切なかった。彼が会えたら嬉しいと思っていた唯一の人物も一緒に来ていたことは、彼にとって嬉しい驚きだった。バーバラの祖母のリディアである。バーバラはリディアのことをノニーと呼んでいた。

「こんにちは、リディア。あなたもいらっしゃるとは知りませんでした」

スティーブは暖かく声をかけ、作り笑いでない、心からの笑みを老婆に見せた。

スティーブはリディアとはいつもうまく調子が合う間柄だった。リディアの娘であるダイアンと、ダイアンの夫であるロイドの2人がバーバラのデート相手の選択に口を出していたときも、後にバーバラがスティーブと付き合いだした時も、このリディアだけはいつもしっかりスティーブの側に立ってくれていたのである。リディアは頬を差し出し、軽くキスをさえ、お返しにスティーブの頬にキスをした。

スティーブは家の外に目を向けた。バーバラの一族にもう1人いるメンバーがまだ外にいるのだろうか、と思ったのである。

「キンバリーは来なかったのですか?」

ロイドは頭を振った。

「あの娘はまだオースティンにいて大学入学前の授業を受けている。それに、いずれにしても、私はキンバリーは連れてはこないよ・・・彼女はこの件にかかわる必要がないと思うからね」

スティーブは肩をすくめて見せた。

「僕には、あなたもこの件にかかわる必要があるのか、はっきりしないんですよ、ロイド」 スティーブは、特に悪意は込めずに返事した。

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