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Can a lie set you free? 

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妻が訊いた。「あなた、幸せ? いろんなことがあったのに、それでも幸せ? って意味だけど。あたし、あなたが望むことをするのを手伝うのに夢中だったでしょ? だから、それが本当にあなたの求めていることなのかなって、いつも気になっていたのよ」

僕は自分の胸元に目を落とした。胸が豊かに膨らんでいるのは見まがいようがない。胸の膨らみに気づいてからどれだけ経っただろう? 数か月? 1年? この胸、あまりに急速に自分の体に馴染んできたので、こんな胸が自分の体にあったらと夢見ていた日々がいつだったかも覚えていない。ずいぶん前からこんな胸をしていたようにすら思う。それは分かってるつもりだ。でも、胸だけが特別なわけではない。この胸は僕の一部なのだ。かつて、あまりに過激すぎると思った他のカラダの変化と同じく。

僕には他の道はなかった。実質、他はなかった。思い出せる限り、女性になることは、僕にとって、ずっと前からの夢の中心にあったことだったけれど、その夢が僕の変身を促した駆動力であったわけではない。その駆動力の名が値するのは、妻のジュリアンの方だった。彼女は、僕の変身のすべての段階で僕を後押ししてくれたし、僕の決心が揺らいだりした時ですら、僕がくじけた時ですら、ジュリアンはそばにいて僕を支えてくれた。

僕は、そんなジュリアンに、これはすべて嘘から出たことだと言う勇気がなかった。もし、そんなことを言ったら、妻の心を叩き壊していたことだろう。正直言えば、僕自身も打ちのめされていたかもしれない。僕はジュリアンなしでは生きていけなかった。彼女を失いたくなかった。なので、あのパンティを……あの、昔の同僚女性との愚かな密会の結果の物を……ジュリアンに見つけられてしまったとき、僕は嘘をついたのだった。それは僕の物だと。僕は思い出せる昔からずっと女装をしてきたのだと。その嘘は、核の部分に真実が含まれていたので邪悪な嘘ではなかった。確かに、女性の服を着るところまでは行ったことはなかったけれど、それを夢見ていたことは事実だった。でも、それは単なるフェチのひとつにすぎなかった。

理解できないことではないが、彼女はそれは嘘じゃないかと疑った。当然だった。僕は正直に言うべきだったのだ。真実を告白すべきだったのだ。だけど、僕はできなかった。ジュリアンが僕の元を去ってしまうだろうと思ったから。僕たち夫婦の関係は、僕の浮気を持ち堪えられないだろうと思っていた。そこで僕は嘘に嘘を重ねた。自分は男性の肉体に閉じ込められた女性なのだと。そして数時間の話し合いの後、彼女は僕の言うことを本当に信じたのだった。僕は助かったと思った。これで、この話は終わったと思った。でも、ジュリアンは僕のことをあまりに愛しすぎていた。僕が男性としての人生を嫌っているのなら、僕にそんな人生で苦しめることはできないと思ったのだった。僕が男性でありたいと思ったことがないのなら、そんな男性のままでいさせることはできないと彼女は考えたのだった。

思うに、どの時点でも、僕は彼女に真実を話せたと思う。女装の世界に手を伸ばし始めた時期、いつでもすべてを説明しようと思えばできたと思う。それによって僕たちの夫婦関係が終わりを迎えることになるのは間違いなかった。でも、少なくとも、僕は男性性を保ち続けることができていただろう。でも、僕は真実を話さなかった。話せなかった。

そういうわけで、僕は女性に至る様々な段階を進み続けた。女性ホルモン。お化粧。公共の場所への外出。ひとつひとつの行為をクリアしていくたびに、僕は彷徨うように、少しずつ男らしさから離れていった。友人たちを失った。僕と口をきかなくなった家族もいる。それに、どんな人であれ忍耐しきれないほど、何度も会社の噂話の話題にされた。でも、僕はやめることができなかった。妻と別れたくないと思う以上、やめられなかった。

ほぼ、2年が過ぎたころの僕がこの姿だ。ベッドに横たわり、女性的な肢体を露出して、妻の質問について考えている。僕は幸せなのだろうか? 妻が聞きたがっている答えは知っている。そしてそれと同じくらい確かに、僕自身、どう答えるか知っている。でも、本当のところ、僕はどう感じているのだろう? これが、最初から僕が本当に望んでいたことなのだろうか? 僕の心の奥の潜在意識が、この姿になるよう駆り立ててきたのだろうか? それとも、僕は、自分のついた嘘にしがみついている嘘つきにすぎないのだろうか?

「そう思うわ」 と僕は顔を上げた。心の中から真実を追い出しながら、にっこり微笑み、返事した。「幸せだと思う」

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[2017/10/23] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

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