ifap_63_a_father's_mistake
「あ、あたし、よくわからないの……」 彼の前に立ったまま、私はつぶやいた。裸になっているあたし。体をさらけ出している。後ずさりし、後ろの鉄格子に背中が当たる。かつらの長い髪の毛が敏感な乳首をくすぐっている。「心の準備ができてるのか、分からないの……」
「お前が分かってようが、分からないだろうが、関係ないんだよ」 と彼は言った。口角を歪め、いやらしい笑みを浮かべている。「これは夢でも何でもないんだよ。俺はカネを払って、お前をここに呼んだ。そのカネ、無駄にするつもりはねえんんだ」
「だ、だから、あなたのせいで、あたしはあそこから移された……」
彼はあたしの言葉を遮った。「俺がお前を呼んだんだ。もっと正確に言えば、お前の親父が呼んだようなもんだな。お前の親父は俺の邪魔ばかりした。俺をバカにしやがった。だから、あいつのひとり息子が逮捕されたと知って、俺はお前がここに来るよう仕向けたわけさ。ほら、さっさとひざまずけ、メス豚!」
突然、すべてが分かった。あの裁判。不当に僕をとがめたあの裁判。裁判官も、あんなに厳しい判決をした。そして、最大限に安全な刑務所から、この刑務所への移送。そのすべてが、僕の目の前にいる男が仕組んだことだったのだ。そして、それはすべて、僕の父が何か知らないけど彼に良からぬことをしたことによると。
驚くことではなかった。父は良い人間ではなかったし、数多くの危険な人々の邪魔をしてきた。そういう人たちの誰かが、僕を使って父に復讐をするのは、十分に予想できていたことだった。新しく同室となったこの男が、こんなに延々と復讐について語ってることからすると、この男はその世界ではよっぽど権力を持っていた男なのだろうと思った。
「あ、あたしは、トラブルはいやなんです。ただ、……保護してほしいだけ」
「保護だと?」 男はズボンのベルトを緩めながら、かすれた笑い声を立てた。「お前は、このムショの全室を次々に渡り歩くことになるだろうな。2年もすれば、尻にちんぽを入れられてなければ、何をしていいかすら分からなくなるだろうぜ。しかも、お前にはそれを防ぐ方法が何一つないんだよ」