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My world 


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おカネのためにやってるけど、これは嫌いなのって言えたらいいんだよねえ。売春婦が善良な人間だなんてありえない。そうでしょ? 少なくとも、そういうふうに教わってきているし。善と悪の意味を定義しなおそうってこと、知ってはいるけど、あたしは、どっちと言われたら、がっつり悪の方に分類されるって感じがぬぐい切れないの。こういうの気にしない人もいるけど、あたしは気にする。本当に。恥の気持ちを忘れたくないもの。それに社会の許しの気持ちって言うか寛容さも経験したいと思っているもの。でも、そんな寛容ないのよ。少なくとも今までは。ただ、彼があたしの一番のファンになってくれてからは違うかな。

彼があたしが誰か分かっていないのは知っている。ありえないわよね? あたしは前とは本当に、本当に変わっているから。でも、変貌したあたしを知っても、彼、そんなに驚かないと思う。そもそも、あたしが10歳のころから、彼はあたしのことをちゃんと見ていなかったし。あたしのこと、実際、知らないんじゃないかしら。知りたいとも思っていなかったんじゃないかと。

でも、あたしは彼のことを知っている。この10年でも、彼はそんなに変わっていなかった。お母さんを置き去りにして家を出て行った男。今でも、あの風貌が残っている。あたしのお父さん。

あのホテルの一室で、関係を終わらせるべきだったのかもしれない。そうすることもできた。でも、すごくたくさんおカネを出すって言うし、それにあたしにも、この関係どこまで行くのかなって、ちょっと病的に好奇心が勝るところもあった。最後には、彼はあたしのこと認識するかな? フェラをすると分かるかな? もっと強く突いてって叫び声をあげているときに分かるかな? そんな好奇心もあったんだけど、彼は分かってくれなかった。まあ、彼にとっては、あたしはただのシーメールの娼婦のひとりに過ぎなかったんだろうって。

そして、あれから1週間後の今、あたしはまだ彼に写真を送っている。彼もすでにもう一度あたしに会いたいって予約を入れているし、あたしも同意する気持ちを伝えていた。なんか、後ろめたい気持ちがある。本当に。でも、そういう一種のモラルに引っかかる部分は、すでにあたしの心の中では死んでいる。そういうのを捨てたのはずいぶん前。あたしが生きてる世界では、そんな種類の道徳心は長生きできないものなの。

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[2017/10/27] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

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