ifap_63_probation
「ほら、やれよ。前にも俺に見せただろ?」とジョンが言った。
タイラーはうんざりした声で言った。「やりたくないって言ったろ? どうして、お前は、この件になるとそんなに頑固になってしまうんだ?」
「アダムがお前は男だって信じないからだよ」とジョンが答えた。「それって頭に来るだろ? あいつに見せてやればいいんだよ。自分は男だって証拠を見せてやればいいんだよ」
タイラーはため息をついた。彼は母親に無理やりスカートを履くようにさせられてから、ずっと、一種の余興であるかのように友達に振る舞われてきた。彼が現実の人間でないかのように扱われてきた。
「いいよ、分かったよ!」 とタイラーは紫色のドレスの裾をめくった。彼は下着を履くことを許されていない。したがって、彼の性別を示す証拠が丸見えになった。「これで嬉しい?」
「ああ、本当かよ!」 とそれを見つめながらアダムが言った。「本当に男だったんだ。何てことだよ。でも、お前……お前にはおっぱいがあるだろ。それにどう見てもお前は……」
「女の子みたいだ、って?」 とタイラーは続けた。「そこがポイントなんだと思う。これは母親が考えたことなんだ。最後に僕が逮捕された時、僕の母親は断固とした態度に出たんだ。こういう姿になるか、家から追い出されるか、どっちかにしろって。家から追い出されたら、僕は刑務所に行かなくちゃいけない。母親と一緒に暮らすというのが、執行猶予の条件だから」
「でも、お前の胸には……」
「ああ、おっぱいがある」 とタイラーは続けた。「そんなに大きくはないけど、確かにある。これも母親からのプレゼントさ。本物なんかじゃない。母親は、すごく値引きしてくれる医者と知り合いなんだ。執行猶予期間が明けたら、僕が望むなら、取り除くこともできるんだって」
「それにしても……」
「俺が言った通り、男だったろう?」 とジョンが割り込んだ。
「でも、それにしても、……これってすごく変だよ」とアダムは言った。「どうして、母親にこんなことをさせたんだ……どうしてこんな格好に……?」
「こうなるか刑務所かのどっちかだったから」とタイラーは答えた。「僕を見てくれ。この格好で刑務所に入ったら、生きて帰れないだろう? 絶対無理だ。ひどい状況だけど、この格好になるのがベストの選択だったんだ。それに、付け加えれば、これはそんなに悪いわけじゃないんだ。大半の時はね。実際、ちょっと気に入っている部分もあるんだ」
「気に入ってる?」 とアダムが訊いた。
「ああ、確かにお前、気に入ってるよな?」とジョンも言った。「でも、いつまでも、その姿のままでいるつもりはないんだろ?」
タイラーは肩をすくめた。「たぶん、このままでいるかと思う。でも、今はどうでもいい。何か決断をしなくちゃいけない時まで、まだ半年もあるから」