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Taking control 

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思い出せる限り昔から、僕はコントロール狂だった。子供のころは、それを否定しようとした。僕はただ物事がちゃんとなっていることを望んでいるだけだと。でも、それは、物事を僕の思った通りにするということを意味していた。成長するにつれて、僕は、ことの正しい・正しくないは、このこととはほとんど関係ないことを悟っていった。ちゃんとコントロールできているかどうかが僕にとって重要なのだと。そして、僕はその考え方を大事に思うことにした。というのも、僕がかじ取りをすると物事がうまくいくことが少なからずあったからだった。

しかし、僕のそういう態度は男女関係になると最悪な結果にもなった。数えきれないほどのガールフレンドが僕の元を去っていった。そのすべて、僕が彼女たちの人生を仕切りたがるという単純な理由によるものだった。彼女たちの服装や、いくらお金を使うかや、どんな友達と付き合うかなど。知る限りすべて僕が管理した。当然予想できるように、たいていの女性はそんな男とは付き合っていられない。そんな僕だったけれど、ハンナだけは、何とか僕と結婚するように説得できたのだった。

思うに、ハンナは、ふたりが正式なパートナーになれば、僕は変わると思ったのだろう。それに、僕自身も変わりたいと思っていた部分があった。でも、あの時点までは僕はやっぱり僕だったわけで、急に、何か違った存在へと魔法のように変身するわけにはいかなかった。ほとんど、結婚直後から、僕たちふたりとも、これは負け試合だと悟ったのだった。とはいえ、ふたりとも頑張り続けた。いずれ夫婦関係は破滅するだろうとは思っていても、ふたりとも、何とか上手くいくよう努力を続けたのだった。

そんな時、僕たちはセイドに出会った。うーん、セイドについてはどこから話をしたらいいだろう? 彼は僕がなりたいと思うすべてを具現化したような男だった。100%の理想形の男だった。すべてをコントロールし仕切る男。男らしい男。ハンサムで、逞しい男。ハンナは、たぶん、僕をうまく制御したら、こんな男になるんではないかと想像していたのではないかと思う。そんなタイプの男だった。そして、それゆえに、彼女がセイドと一緒に寝るようになった時も、僕はそんなに驚かなかったのだと思う。

ふたりがそうなることを、ほぼ最初に会った時から分かっていたように思う。ハンナもセイドもふたりの関係を隠そうともしなかった。そして僕がハンナに問い詰めると、彼女はただ肩をすくめるだけだった。「あなたに私を責めることができるの?」と。

僕は大声を上げたかった。怒りのあまり、家具を部屋中に投げ飛ばしたかった。でも、そんなことはしなかった。どうしてかわからないけど、ふたりの関係を一種容認したのだった。その代わり、もし彼女が他の男と寝るのだったら、僕も同じことをすると言った。ハンナは同意し、僕は言った通りのことをした。だけど、いくらいろんな女たちと寝ても、僕は楽しくなかった。その代わり、僕は怒りっぽくなっていった。怒ってばかりいた。どうしてもハンナを取り戻したいと思った。

振り返ると、バカげた考えだったと思うし、ハンナとはほとんど関係のないことだったと思う。明らかに、それまで僕はかなり抑制していたのだろう。それが本当の理由だと思う。ともかく、理由が何であれ、僕はハンナに仕返しするため、彼女を侮辱しようと思ったのだった。僕は、まともな女性なら誰も夫としては求めたがらないような男になってやろうと思ったのだった。僕は女性的なナヨナヨした男になることにしたのである。

本当に慣れるまではちょっと時間がかかったけれども、変身が終了した時には、僕は生まれつきそうであったかのように、女性的に振る舞うようになっていた。すべてを変えた。着る服装から、話し方、振る舞い方などすべて。その間、僕は、ハンナを居心地悪い気分にするために、こうしているのだとずっと思っていた。でも、彼女は逆の反応を示した。むしろ僕に女性化をもっと進めるよう励まし、ようやく男っぽい振る舞いを捨て去るように決めてくれて心から喜んでいると言うようになったのだった。

一線を越えたのがいつのことだったか分からない。あまりに急速に進んだから。でも、そのすぐ後に、僕は女性になる道を進み始めていた。パンティ。スカート。そしてホルモン。名前も元の名前の女性版の名前を使うようになっていた。その間も、依然として僕は、女性にとって、男とは言えない男を夫に持つこと以上に恥ずかしいことはないという考えにしがみついたままだった。

その間、セイドはいつの間にか僕たちの家に居座るようになっていた。好きな時にやって来ては、好きな時に出ていく。彼がハンナと寝るときは、僕が予備の寝室に移って眠った。そういう夜、壁を通してふたりの声が聞こえるのだった。ふたりは自分たちの行為をまったく隠さなかった。

僕の計画において、次に必然的に進むべき次のステップについて認識したのは、彼が僕のことをじっと見つめているのに気付いた時だった。それに気づいたとき、どうしてもっと早く気が付かなかったのだろうと僕は自分を責めた。それほどあからさまな視線だった。

その日、僕とセイドしか家にいなかった。ハンナは夜遅くなるまで帰ってこない日だった。僕は浴室の外に立っていた。永遠とも思えるほど立っていたような気がする。シャワーの音を聞きながら、どういうふうに進めるかを考え、失敗した場合どうなるだろうと想像しながら立っていた。そして、とうとう、僕は深呼吸をして、浴室のドアを開け、中に入ったのだった。すでに裸になっていた僕は、そのままシャワーのお湯の雨の中に入っていった。

彼はほとんど僕の存在に気づいていなかったと思う。少なくとも、僕が後ろから手を伸ばし、彼の一物を握るまでは。それがみるみる固くなるのを感じ、僕は彼を自分のものにしたと分かった。もっと進んでも彼は拒まないだろうと。そして、僕の計画がようやく完成に近づいたと分かったのだった。

僕にはハンナに僕を愛するようにさせることはできない。ハンナがセイドと寝るのを防ぐこともできない。それに、彼女を辱め、従属的な態度を取らせることもできない。でも、僕はセイドを盗むことはできたのである。ようやく、僕はコントロールを掌握することができたのである。

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[2017/10/29] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

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