ifap_63_unbelievable
「すごくきれいだ」 とクラークはあたしの腰に手を添えて言った。「君みたいな娘がいたなんて知らなかったよ」
僕は返事をしなかった。返事したら、自分が思ってもいないことを言ってしまいそうで怖かった。だから、四つん這いになったまま、待っていた。期待で震えていた。心臓がドキドキ高鳴っていた。アレが欲しくてたまらなかった。本当に切望していた。そして、まさにそのことが僕を怖がらせていた。というのも、まさにこの前日まで、僕は自分のことを完全にストレートな普通の男だと思っていたから。
では、どんな変化があったのか? どうして、僕は、見ず知らずの男のいるベッドで、素っ裸で四つん這いになっている状態になってしまったのか? どうして、そんな格好でその男に分身を突き入れてほしいと待つことになってしまったのか? あまりにも極端にすっ飛んだ結果のように思えるかもしれない。ほとんど、信じられないと。でも、これは実際に起きたことなのだ。そして、僕は、こういうことになると予想すべきだったのである。
友達のデビンは、昔から嫉妬深い人だった。彼はどんな娘と一緒であっても、その娘がどんだけ信用できる人であっても、その娘が浮気をしているのではと疑う男だった。過剰防衛する人間の中でも最悪のタイプと言えた。以前は、それも彼の良い部分に由来しているのではないかと僕は思っていた。愛情からそうなっているのであると。その後、僕は少し違ったふうに見るようになった。そして、これはデビンが自分の所有物を失うことを恐れることに由来すると考え直している。これは、実際、悲しいことだった。
デビンが僕にガールフレンドの見張りをしてほしいと言ってきた時、僕はすぐに食って掛かった。そんなの、彼女のプライバシーを侵害することになると。それは悪いことだと。だけど、最後には、これはただの予防措置なんだと説得されてしまった。もし彼女が浮気をしていたら、それについては知る権利があるはずだ。もし浮気してなかったら、何も問題がないから、それはそれでいいと。彼の論理に同意すべきじゃなかったし、その理由も数多くあったけれど、僕は同意してしまった。
「でも、ひとつだけ問題があるんだ」と彼が言った。「君は嫌がるだろうと思うけど」
そして彼は説明し始めた。彼のガールフレンドは独身女性のパーティに行くことになっている。女性だけで男性ストリップのクラブに行くと言う。その中にバレずに混ざるには、それなりの格好にならなければならないということだった。つまり、女の子のふりをしなければならないと。
反論すると、彼は言った。「いや、君なら通ると思うんだ。去年のハロウィーンをことを覚えているだろ? 大半の男たちが、君のことを本物の女の子と思っていたじゃないか」
ほぼ1時間にわたる議論の末、僕は折れてしまい、女装してスパイするという頼みを受けてしまったのだった。
その夜、僕はあのストリップ・クラブにいた。隅から隅まで女の子のように見える格好になっていた。女の子たちの中で、僕のことを二度見するひとは誰もいなかった。だが男たちはというと……ともかく、その夜、僕は男性ストリッパーたちの注目を集めたとだけ言っておこう。そして、それが気持ちよかったのだった。本当に。ちやほやされて気持ちよさのあまり、僕は自分の任務をすっかり忘れてしまったほどだった。途中で、デビンの彼女のことは見失ってしまった。そして、さらに何杯かお酒を飲むうちに、自分自身のことも見失ってしまったのだった。
ある時点から、その店のバーテンダーが僕に接近し始めているのに気が付いた。僕は控えめな態度を取り続けていたけど、彼は執拗に僕に言い寄り続けた。それに彼はなかなか魅力的な人だとも思った。ハンサムだったし、セクシーだったし、僕も積極的に拒んだりはしなかった。そして、そういうふうにして、僕は気が付いたら、彼のアパートで四つん這いになり、バージンを奪われるのを待っていたのだった。
前にも言ったように、信じられないことだと思うだろう? でも信じてほしい。本当に起きたことなのだから。