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No pictures 


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「うーん、カイリー? 写真を撮るって賢いことじゃないんじゃない? だって……誰かに見つかったら、どうするの?」 とアレックスが言った。

濃い茶色の髪のカイリーが言った。「これが今のカイルよ。それに、いつかはみんなにバレることになるんだから。それがちょっと早くなったからって、気にする?」

「でも、ふたりで決めたでしょ?…あの……地元を離れて大学に戻るまでは、秘密にして置こうって。そう約束したでしょ?」とアレックスが言った。

「もう、いいわ。分かった。どっちでもいいわよ。でも、あんた、他の人が思うことについて、ちょっと気にし過ぎじゃない? もしあたしが仕切っていたら、1年生の時にカミングアウトしていたわよ。もう一回でも、あのだぶだぶのスウェット・シャツを着たり、バカみたいに包帯で胸を巻いたりしなければいけないと思ったら……」

確かに、アレックスもカイリーと全く同じフラストレーションを感じていた。彼女も同じことをしなけれならなかったから。膨らんできた胸を布で巻き、バギーの服を着て、普通の男の子のような行動をする。アレックスもクローゼットの男物の衣類を放り投げたいのはカイリーと同じだった。だが、アレックスには他にも考慮しなければならないことがあった。

「もしあんたのお父さんがうちのお父さんだったら、あんた、そんなこと言わないと思うわ。うちのお父さんにバレたら、カンカンに怒るわよ。あんたも知ってるでしょ、うちのお父さんのこと。このまんまでいた方がいいの。それに、このままでも、こうして楽しめるし。ここでは隠れる必要がないわ。誰もあたしたちの本当の姿を知らないし。だから、写真はダメ。オーケー?」

「ええ、いいわよ。分かったわ。写真がなければ春休みを楽しめないわけじゃないし……」

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[2017/11/06] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

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