51_pursuit_of_power
「パワーというものは、犠牲なしには手に入れられないものだ」とレイが言った。「その犠牲を受け入れるか?」
腰までの深さの温水が入ったバスタブに立ちながら、カレブはこれまでの人生で感じたことがないほどの不安感を感じていた。払わなければならない代償については知っている。そして、それによって得られる報奨についても知っている。そして、それによって自分が完全に変わってしまうことになるのであるが、彼はそれを受け入れた。彼は頷き、「はい」と答えた。
「では、身を委ね、そして変身せよ」と、小柄で可愛いブロンド髪のレイが言った。「身を委ね、お前が想像すらしたことのないパワーを得よ」
「身を委ねます」とカレブは囁いた。
「魔法は女性的なもの」と、レイはタブの周りを歩きながら言った。一歩踏むごとにキラキラ光る粉を手に握り、泡立つお湯の中に投げ入れていく。「それゆえ、の持ち主からはいかなる男性性をも取り除かれなければならない。それを受け入れるか?」
カレブは大きく息を吸い、そして答えた。「はい」
レイは、タブを一周し終えた。「お前の心が純粋であれば、お前は変身するだろう。そうでなかったならば……お前は命を落とす。その危険性を受け入れるか?」
「はい」
「では、お湯の中に体を沈めよ。そして生まれ変わるがいい」
カレブはためらわずにタブに体を沈めた。両目を閉じていても、この世の物とは思えない光が辺りに満ちるのが見えた。そして、一瞬、パニックに襲われそうな感覚を覚え、その次に痛みが襲ってきた。激しい痛みだった。
苦痛というだけでは言葉が柔すぎる。拷問という言葉でかろうじて彼の痛みの表面をかする程度だろう。精神的な痛みであり、肉体的な痛みでもあった。圧倒的に心身を弱らせるものでもあった。タブの中もがきまわり、水面に出ようとしたが、何か見えない力によって押さえつけられ、水中に留まり続けた。叫び声を上げようと口を開くが、焼けるようにひりひりする水が喉に流れ込んでくる。その時間は数秒かもしれないし、数分、数時間、あるいは数日だったかもしれない。時間は無縁の概念になっていた。そして、苦痛が収まってきた時、カレブは自分が変わったと知った。
水から立ち上がると、胸を下に引っ張られる馴染みのない感覚を味わった。新しく乳房ができたのだ。髪の毛が伸び、その毛先が背中を撫でるのを感じた。だが、より重要なこととして、彼は、体のコアの部分に、激しくたぎるようなパワーがあるのを感じた。体の中、そのパワーは解放されるのを待っている。長い間、探し求めてきた魔法が、ようやく彼の手に入ったのだ。彼は目を開けた。そこには、微笑むレイがいた。
「ようこそ、お姉さま」 と彼女は言った。