2ntブログ



A brutal introduction 


A Brutal Introduction
ヘンリーはムカついていた。寮の廊下を歩きつつ、この状況が憎らしくてたまらなかった。あの義母のせいで、こんな状況になっている。彼はフーリガンだという理由で、義母に、この全寮制の学校に送り込まれたのである。こんなことバカげていた。彼は廃墟になっていた建物の窓ガラスを2枚ほど壊しただけなのだ。誰かにけがを負わせたとかいうわけではない。なのに破壊行為の罪状を突きつけられ、義母は彼の言い分をまったく聞かなかったのだった。

だが、そんなことはどうでもいい。彼はこのウェリングトンに長居するつもりはなかった。何日かしたら、自分で勝手にするつもりでだ。そして18になったら、父親が残してくれた投資信託に手をつけることができるようになる。その日まで、2ヶ月ほど、このバカバカしい全寮学校での生活をしのげば済むだけだ。

すぐに彼は自分に割り当てられた部屋にたどりついた。そして、ノックせずにドアノブを回し、肩でドアを押すようにして中に入った。だが、その部屋で彼を待ち受けていたものは、あまりに予想外であったため、彼は持っていた荷物を落としてしまい、口をあんぐりと開けたまま、唖然として身動きできない状態になってしまった。見ているモノに対して頭がついていくのに、しばらく時間がかかってしまったのである。

「ご、ごめん……」 ヘンリーは部屋の真ん中に立っていた素っ裸の女の子から目をそむけながら言った。「ぼ、僕は、ま、間違った部屋に入ってしまったらしい」

「あら、変なこと言わないで。あなたヘンリーでしょ? 私たちルームメイトなのよ」

「でも、君は……」

「ん、もう! あたしのこと見てもいいから。気にしないもの。それに、これから一緒に暮らすとしたら、いつかはあたしを見ることになるでしょ? ここは、そんなにプライバシーが保障されてるわけじゃないから」

ヘンリーは勇気を振り絞って、目の前の裸の娘に視線を向けた。そして、彼女がそもそも女性でないことに気づいたのだった。「き、君は……お、男だったのか……」

「かつてはね」 と彼女は大したことでもないと言わんばかりに返事した。「そんなにビックリしないでよ。ここで何が起きてるか、あなたも知ってるんでしょ?」

だが、ヘンリーが何も理解してなさそうな顔をしているのを見て、彼女は慌てて言った。「ええっ? まさか、知らないの? もうっ! 本当にウェリングトンがどんなところか知らないってこと? 誰からも聞いてないの?」

「ぼ、僕は義理の母親にここに送り込まれたんだけど。いったい何のことを言ってるの?」

「うーん、可哀想に。あなたにこれを話すのが、私になっちゃって本当に申し訳ないんだけど、でも、ウェリングトンというところは……何と言うか……あまり行儀が良くない男子のための学校なの……ああ、もうイヤ……。どう説明したらいいのよ? 素行が悪い男子を女性化する学校なの。悪い男子を行儀のよい女子に変えるようなもの。実際にはうまくいってないんだけどね。悪い男子は悪い女子になるものでしょ? 私なんか、いい例よ」

「いったい何の話をしているんだ?」 ヘンリーはパニックになるのを感じながら訊いた。「女性化? 悪い男子? 僕は……僕は君が言ってることが理解できない」

「あなた、義理のお母さんに送り込まれたんでしょ? そう言ったわよね? そうねえ、そのお母さん、あなたを女の子にするためにここに送り込んだのよ。あなた、女の子に変えられるわよ。私みたいに」

「ええっ? どうやって?」 とヘンリーは後ずさりしながら訊いた。

「たいていはホルモンね。手術の場合もあるわ。遺伝子治療とかも。手段はあまり関係ないわ。肝心なのは、いずれの手段でも、効果は永久的だということ。逃げ出そうとしてるけど、教えておくわね。失敗に終わるって知っておくべきよ。この場所、学校のように見えてるけど、実際は、刑務所と同じくらい出入りが管理されているのよ。現実から目をそらしてはダメ。この施設の入り口に足を踏み入れた瞬間から、あなたは女の子になる第一歩を踏んだことになったのよ」


fem_station_55_a_brutal_introduction.jpg


[2017/11/20] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する