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Drunken reveal 

62_a drunken reveal
「構わないわ。誰にも知られないから」と、あたしはちょっと甘える声で言った。

あたしは酔っていた。でなければ、こんなことは起きなかったはず。酔っていなければ、彼に本当のあたしを見せるなんて絶対に勇気がなかったはず。何百万年たっても、そんな勇気を出せなかったはず。でも、こういうことが起きるところが大学というところじゃない? 学生時代というのは自分自身を発見する年頃であり、大学というのはそういう自分を発見する場所。時に、そういう発見は、酩酊状態の波に乗って発現するもの。

彼は唖然としてあたしを見つめていた。口をあんぐり開けて、今にも、顎が外れそうになりながら。酔っていて頭が朦朧となっていたけど、それでも、もちろん、あたしには彼の驚きの気持ちが理解できていた。あたしと彼は、小学校の時から仲良しで、彼があたしにこの秘密があると疑っていた可能性は完全にゼロだったと言えるから。びっくりして当然。

これまでの人生、あたしはずっとこれを隠し続けてきた。情けないことだったからかもしれないし、恥ずかしいことだったからかもしれない。あるいは、単に、めんどくさかったからかもしれない。良い評判であれ、悪い評判であれ、街中の噂の種になって、人に判断される。それに対処するのは、とてつもなく疲れそうなことに思えたから。理由が何であれ、あたしは、生まれてからずっと女装してきたということを一言も他の人に話さなかった。あたしがずっと前から女の子になることを夢見てきていたなんて、誰も知らない。そして、ディーンはあたしの一番の親友であるというのは事実だけど、そんな親友のディーンですら、他の人と同じく、あたしの秘密についてはまったく知らなかったのだった。

その理由には、否認の側面があったと思う。彼はあたしの兆候にちゃんと気づいていたはず。一度ならず、あたしがお化粧を消し忘れたことがあったし、ネイルもそのままにしたことがあったし、女物の服を置きっぱなしにして、彼に見えるようにしていたこともあった。それに、彼のあそこが太そうに見えるけれど、本当に太いのかとまじまじと見つめてしまったことが、一度以上はあった。

でも、ウィッグをかぶり、完ぺきにお化粧したあたしの全裸の姿を見て驚いている彼の顔。彼の表情を見て、あたしは、彼があたしのことについて何も疑っていなかったことを知った。それでも、彼は、確かに驚いていたけれど、同時に興奮している様子も見て取れた。彼のズボンの前がみるみる膨らんでくるのが、その何よりの証拠。

「ぼ、僕は、何が何だか……」と彼はつぶやいた。「僕は……」

「いいの。説明しなくていいの。明日になれば、ふたりとも酔いがさめるわ。でも、それまでは、何も言わないで。今夜だけは、ふたりで楽しまない? 流れるままになってしまわない?」

自分でも、思ったより自信にあふれた言い方になっていたと思う。でも、本当は、彼が激怒して、部屋を出て行ってしまい、彼という大親友を永遠に失うことになってしまうのではないかと、あたしは内心、信じられないくらいビクビクしていた。彼は長い間、何も言わず、じっとあたしを見つめていた。そして、その後、ちょっとイヤラシい笑みを浮かべて、あたしを驚かせたのだった。「うん、そうしよう。是非とも、そうしよう」と彼は言った。

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[2017/11/24] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

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