62_a few minor changes
「何?」 とジェロームは、恥ずかしそうに裸の体を隠そうとしながら言った。「君が何を言おうとしているのか、さっぱり分からないよ」
「分からないって?」 とマイクは訊いた。「マジで言ってるの? 最近、鏡を見たことがあるのか? おい、おい。君は化粧をしてるんだよ。それにカツラも被ってる。しかも、おっぱいも膨らんできてるじゃないか! どうしてそれが分からないんだ?」
ジェロームは両手を腰に当てて反論した。「まず第一に、化粧はちょっとだけだよ。化粧している男はいっぱいいるんだ。カツラも同じ。僕はこれが気に入っている。それだけのことだよ。それに、別に、おっぱいなんかできていないよ。ただのホルモンのバランスが悪くなっているだけ。キャリーは2ヶ月もすれば自然に治るって言っているよ。君はもうちょっと成長して、心をちょっと広げてみなくちゃいけないと思うよ」
「心を広げる?」 マイクの声は感情的な色合いを帯びていた。彼は親指と人差し指で鼻の頭を擦った。「それに、その裸の格好。それはどう説明するんだい?」
「別に裸に何も悪いことなんかないじゃないか」とジェロームは声を震わせた。「恥ずかしいことは何もないよ」
「君は信じようとしないとは思うけど。これが狂ってることだって、自分でも分かっているんじゃないのか? 何もかも狂ってる。君があのストリッパーと出会って、つきあい始めてからずっと狂いっぱなしじゃないか」
「キャリーはストリッパーじゃない。彼女はエキゾチック・ダンサーだよ。それに彼女は僕の生活態度の改善には全然関係がない。僕はただ、外見を真剣に気にすることは悪いことじゃないと悟っただけなんだ。多分」
「マジでそんな言い方するのか? 外見を真剣に気にすることって? 君はまるで女の子のように見えているんだぜ?」
ジェロームは肩をすくめた。「それが、何か? 僕はそうは思わないけどね。僕は前と比べてそんなに変わっていないと思うよ。多少、洗練されたとは思うけど。でも、何であれ、誰が、そんなジェンダーのことを気にするかって思うけど?」
「もう、僕にはかけてあげる言葉がないよ」とマイクは言った。
「元気出して、マイク。すべてうまくいくって。今もすべて問題ないし。僕は今までと同じ男で変わりがないんだからさ」