62_a tight spot
「どうして家にじっとしていられなかったのよ。私がちゃんとカバーしていたのに!」
「カバーしてたって? 本気で言ってるの? 姉さんは捕まっていたんだよ! 僕は姉さんを助けようとしたんだ!」
「その結果、どうなったのよ!」
「少なくとも、頑張ったよ。姉さんは、ただ、ぶらぶら遊んでいるだけだった。事情を知らなかったら、姉さんは、あいつらのセックス・スレイブになって喜んでいるだけだと思っただろうね」
「それに、私も事情を知らなかったら、あんたは女性化されるのを喜んでいると思ったことでしょうね。あの、あんたが懇願する様子ったらなかったわ。私たちを売り飛ばさないなら、何でもしますって言うときのあんたの様子ったら」
「そんなこと言ってズルいよ。どうしようもなかったって分かってるじゃないか」
「ええ、分かってるわよ。あんたの言葉もズルかったというのと同じくらいにね。でもね、違いは何かと言うと、私はちゃんと仕切っていたということ。自分がしていることをちゃんと把握していたのよ。もう2週間もすれば、手に入れていたはず。この仕事を終えることができていたはずなのよ。なのに、今は、何? 弟は完全に女性化されてしまったし、ふたりしてこうして森の中、縛られている。さらに悪いことに、連中は、もう私のことを信用しなくなってしまった」
「連中は最初っから姉さんのことを信用していなかったよ。それ、分かっていたんじゃないの? 何もかも、ゲームだったんだ。それに……」
「あいつらを捕まえるのに必要な情報に、あともう少しってところまで来ていたのに。アダム、そういうことを私はしていたの! 自分でちゃんとわかってやっていたことなのよ!」
「分かるよ」
「ちょっと黙って。考えさせて」
「早く頼むよ。あと何分もしないうちに連中が戻ってくるから。あいつらが戻ってきたら、新しいご主人様をあてがわれることになってしまうんだから」
「分かってる。だから、ちょっと黙ってて。お願いだから、黙ってて」