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64_a confrontation 「対決」
「ぼ、僕には……できないよ、アンバー」 ジョーイは口ごもりながら顔をそむけた。手で髪の毛を掻く。「どうしても、できないんだ」
アンバーは、裸だったので無防備状態だったが、カッとなって大きな声を出した。「何ですって?」
「できないよ」 ジョーイは繰り返した。
「ええ、それは聞こえたわよ。どういうことか理解できないということ。あんた、あたしとヤルためにどのくらいあたしを口説いてきたっけ? もう6ヶ月にはなるわね? それで、今こうして、事実上あたしから体を差し出しているというのに、あんたは引き下がろうとしているの? いったい何なのよ!」
「分からない」 ジョーイは小さな声になっていた。「もし前もって知ってたら……」
「何を知っていたら?」 アンバーは、彼がどう答えるか分かっているがゆえに、いっそう苛立った。そういう答えは前にも聞かされたことがあったし、今も、もう一度聞かされることになる。
「僕は知らなかったんだ。君が……その……男だったって。知らなかったから」
「男ですって? 本気で言ってるの? あんたにはあたしが男に見えてるわけ? あんたが3週間ぶっ通しであたしにまとわりついてデートに誘っていた時も、あたしのことが男に見えていたわけ? あたしがあんたのおちんちんを口に入れたときも、あたしのことが男に見えていたわけ?」
「でも君にはちんぽがある……ちんぽがあるのは男だよ」
「女の子の中にもちんぽがある人はいるのよ」とアンバーは反論した。「マジで、もっと大人になってよ。そもそも、コレがついてることが何で問題になるのよ? あんたはあたしが好き。あたしもあんたが好き。いや、あんたのことが好きと思っていただけかも知れないわね。あんたがこんな分からず屋だと分かった今は、もう。で、何が……」
「待ってくれ。僕は分からず屋なんかじゃない! ただ、何と言うか……僕は、その種のことには惹かれないというだけじゃないか? そのことを考えなかったのか?」
「あんたのズボンの中のこん棒は逆のことを言ってるけど? いい? ちょっと聞いて。これがショックだってことは分かってるわ。それにあたしももっと前にあなたに言うべきだったかもしれない。でも、あたしたちは今ここにこうしているの。あたしは素っ裸になっている。あなたにヤッテほしいと思っている。あたしには、何が問題だか分からないわ」
ジョーイは長い間、何か考えているようだった。そして、ようやく口を開いた。「誰にも言わないって約束してくれ。約束してくれたら、ヤッテもいいから」
「何ですって?」 アンバーの怒りはさらに高まっていた。
「誰にも言わないって約束してくれればいいんだ。いいだろ? 君のソコについてる小さなモノについて誰にも言わないって……君も、みんなに知られたくないようだし。そうだろ?」
「いいこと?」 アンバーは不快そうな笑みを顔に浮かべていた。「たった今、ここから出ていって。今すぐに! あんたの薄汚いちんぽなんか、1ミリでもあたしのそばにいてほしくないから!」
「でも僕は……」
「でもも何もないわ! ジョーイ、あたしはあんたに何も約束するつもりはないわよ。これがあたしなの。あたしは、屋根の上に上がってみんなにこれのことを叫びたいと思ったら、そうする。だから、とっととここから出ていって」
「君は僕のことを断っているんだよね? なんだかんだ言っても、僕と寝る気はないということなんだね?」
「お願いだから。あんたがあたしのご機嫌を取ってきたのよ。あんたが言い寄ってきたからこうなってるの。だから、さっさと出て行ってちょうだい。あたしが警察を呼ぶ前に」