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Accidental 「誤送信」 

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64_Accidental 「誤送信」

あいつはわざと写真を送ってきているのだろう。もちろん、あいつに言っても、絶対に認めないだろうが。間違って送信したとするには頻度が多すぎる。あいつは、そうすると私がどれだけ怒るか知ってるし、あいつが下した人生の決断に私がどれだけがっかりしてるかも分かっている。分かっててやっているのだ。

「あいつ」のことを「あの娘」と、女性の表現で呼ぶべきなのかもしれない。少なくとも、そうすべきと周りから言われている。だが、20年間もあいつのことを自分の息子と思って過ごしてきたのだ。いまさら変えることなどできない。あいつがどれだけ体を変えてしまおうが、どんな服装をしようが、あいつは私にとっていつまでも男の子なのだ。

もちろん、あいつは私のことを憎んでいる。だからこそ、こういうことをするんだろう。風俗で働いたり、ストリップをしたり、まるっきり体を変えたり。すべて邪悪な父親への仕返しでやってると私は納得している。確かに、あいつにとって、この仕返しは大成功だろう。私は、うちの家族の薄汚い秘密がいつの日か誰かにバレるのではないかと、恐れている。どれだけ私が恐れているか、誰にも言えないほどだ。

確かに、そんなことを無視するのは実に簡単だろう。あいつはこの国の反対側に住んでいるので、そもそも、私には息子なんかいないとシラを切り通すことは簡単だ。ただ、あいつがこういう写真を「間違って」送ってくることがなければの話しだが。あいつが送ってくる写真は、みな同じだ。あいつは、素っ裸になって、女性化した肉体を余すところなく露出し、知らない男たちに囲まれて弄ばれている写真だ。

こんな写真、すぐに削除すべきなのだろう。だが、私にはそれができない。なぜか、何度も開いては、繰り返し見てしまう。何枚も連続して見続けてしまう。息子がどんな姿になってしまったか、どうしても見たくなってしまうのだ。どうしてもやめられないのだ。



[2017/12/14] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

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