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Destiny 「運命」 

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64_destiny 「運命」

「やだ、彼また裸になってる。あなた、彼をもうコントロールできないの?」

「彼は、もう、『彼』と呼ばれるのが嫌なのよ。知ってるでしょ?」

「どう見ても、彼は、もう、服を着るのも嫌になってるわね。彼を連れてくると、必ず毎回、こうなってる……」

「ええ。彼、失われた時間の埋め合わせをしていると思うのよ。そう思わない? 彼、乱れることが一度もなかったから」

「乱れる? トイレで手当たり次第に知らない男にフェラをするとか、理解できないわけでもないの。それとか、あなたの知ってる男の人を家に連れてきてエッチするとかもね。でも、これはどうなの? 最初に彼を一緒に連れあるいた時からずっと、この調子なのよ?」

「最初の時って、サマンサの独身女の会の時ね。覚えているわ。正直、後悔しそうになっているもの」

「こんなふうになるなんて、知りようがなかったものね。たいていの男なら、こういう状態になるって話しを聞いたら、速攻で拒否したでしょうね。こういうふうになることが彼の夢のひとつだったなんて、そんなのあなたに分かるわけなかったものね」

「ほんとよ。あたし、彼はずっとあたしにブラフをかましてるだけだって自分に言い聞かせていたわ。でも、その時、あのドレスを着た彼を見たわけ。あの男性ストリッパーのちんぽをしゃぶっている彼を見たわけ。その件についてあたしと話すことさえ必要なかったわ。分かる? 彼は女性の身体になりたいとすら言う必要がなかったの。あたし、彼の顔の表情を見ただけで一瞬にして分かったもの」

「ええ。すごいことだわ。びっくりするくらい。彼は、彼がなるべき人間になったわけよ。でも、あたし、彼がまた別のストリッパーのために、ああやってお尻を突き出すところを見なくちゃいけないと思うと……」

「彼を連れてくるのをやめればいいじゃない? 彼じゃなくて彼女か。正しい代名詞を使うことになれなくちゃいけないみたい」

「でも、置いていくと言うと、彼女、悲しそうな声で泣き出すのよ。それを聞いてごらん? むしろ、連れてきて、あの小さなモノがぷるんぷるん揺れ回るのを見る方がマシかなと思うから」

「まあ、そういうことよね。あたしたち、こういう光景をこれから何回も見なくちゃいけないように運命づけられているみたいね」


[2017/12/17] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

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