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Interference 「介入」 

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64_Interference 「干渉」

「服を脱げ」と、レギーが言った。レギーはこの工場の長で、でっぷりと太っている。ジェシーがためらっていると、レギーは付け加えた。「お前、女王様の怒りを買いたくないんだろ? だったら、服をさっさと脱ぐんだ、ジェシー。これはお前が自分で招いたことなんだからな」

ジェシーはため息をついた。この命令に従うほかに選択肢がほとんどないのを知っているからだ。まずはチューブ型のトップを脱ぎ、手術によって大きく膨らんだ胸を露わにした。続いて小さなミニスカートも脱いだ。この時はためらわなかった。少しでもためらうそぶりを見せたらお仕置きされるかもしれないと分かっていた。指示されていたように、彼は下着をつけていなかった。トップとスカートを脱いでしまえば、即、全裸状態になる。

「連中、お前に大した仕事をしたようだな」 とレギーは元ボスの見事に女性化した肉体を淫猥な目つきで見ながら言った。「俺ですら、ほとんどお前だって気が付かなかったぜ」

ジェシーは、何と言ってよいか分からず、返事しなかった。彼は全裸ですべてを晒したまま、立ち続け、避けられぬ事態が来るのを待った。

「彼らが入ってきたら、口をきくんじゃねえぞ。ただ突っ立ってろ。しかも、可愛い顔をしてな」

ジェシーは頷いた。レギーはそれを見て隣の部屋へと姿を消した。ジェシーは、立ち尽くしながら、自分の状況について考えた。もっとも、不安な思いが頭の中で駆け巡って集中できない。すると、レギーが戻ってきた。彼は後ろに12名の職員全員を引き連れていた。

ハッと息を飲む声や、信じられないと感嘆する声がジェシーの耳に届いてくる。いやらしい視線を浴びせられた。彼の元従業員だった男たちが訳知り顔でニヤニヤしているのが見えた。

レギーは男たちを集めると話し始めた。「お前たちみんな、ジェシー・ニコラスを知ってるよな。俺たちの元工場長だ」 ジェシーは両腕を胸の前で組んだ。「それに、こいつが何をしたかも知ってるよな。こいつは無数の女たちにセクハラを繰り返した。そして、こいつは、よりによって俺たちの社長であるミセス・ナイト様の娘さんにまで手を出してしまった」

ジェシーはその主張に反論をしたかったが、いくら論じても彼らは聞く耳を持たないだろうと思った。前に試みたときがそうだったし、今回も、言っても聞いてくれないだろう。だが、誰も聞いてくれないと分かっていたとしても、事実が変わるわけではない。事実として、彼は誰にもハラスメントはしていなかった。社長の娘にしても、ただ、彼女の腕に手を触れただけだった。何の邪心もない、無害な接触のはずだった。それに、無数の女性にセクハラ? 確かにふたりほど女性従業員をデートに誘ったことはある。だが、それだけだった。なのに、そのふたりは苦情を言い立て、それを聞いたナイト社長は彼に究極の選択肢をだしたのだった。社内で懲罰を受けるか、司法システムに全面的に乗っかり、その重荷を背負うかの選択肢だった。彼は、前者を選んだことを後悔した。

「これが、道を外した男に起きることだぞ」とレギーは男たちにジェシーの女性化した体を指さしながら説明した。「道を外してもいいが、そうなったら男らしさをはく奪されるんだ。実にシンプルだな。そしてさらに、モノとして見られること、性的な対象として見られることがどういうことか、身をもって知ることにもなる。そういうわけで、ここにジェシーを連れてきたわけだ」

レギーはニヤニヤしながら話を続けた。「もし、お前たち、何か発散したいと切羽詰まった必要を感じたら、ここにいるジェシーがそのお手伝いをしてくれるだろう」

「な、何?」 とジェシーはレギーの言葉の含意に驚いて、声を上げた。

「おや?」 とレギーはわざと知らないふりをして答えた。「女王様に聞いてなかったのか? こりゃ残念な」

「な、何を言ってるか分からない」

「そんなややこしいことじゃない。お前のような頭の軽いカラダだけのオンナにも分かることだ。男たちはエロい気分になるものだ。それは世の中の真理でどうしようもない。だが、ナイト社長は、会社の中で男たちがふらふらと女たちに近づくのは好ましくないと思ってらっしゃるのだよ。と言うわけで、そういう時にお前が男と女の間に、いわば介入するわけだ。そういう時に俺たちを気持ちよくさせて仕事に専念できるようにする。それがお前の仕事だ。協力したくないなら、したくないって言っていいんだぜ? 社長にそう伝えるだけだから」

「やめて!」とジェシーは即答した。彼は社長の怒りを買うことだけは避けたかった。たとえ、それが、レギーの説明したような恐ろしいことをすることを意味しようとも。「いや、やめて! どんなこともします。してほしいことを何でも。だから、社長に、あたしが悪い娘だったって言うのだけはヤメて。お願い、何でもするから」

「そうだな。そういうと思ったぜ」とレギーは言った。


[2017/12/19] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

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