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Normality 「普通らしさ」 

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64_Normalty 「普通らしさ」

私は誰もが望むようなタイプの人間ではない。特に父が期待していたような男ではないのは確かだ。だが、嫌なことが起きるのが世の中だし、人間は変わるものだし、物事はいつもあなたたちが望むように展開するわけでもない。私の人生が仮に道から外れるとしても、私にはどうしてもそうしなければいられないだけなのである。私にできることは、溺れないように水面から頭を出し続けようとすること。自分の状況をできるだけ良いものにしようとし続けることだけだ。

とはいえ、それでも心が痛む。陰口のすべてが心にグサグサ刺さってくる。軽蔑的な視線をひとつひとつ感じる。嫌悪感が溢れた表情を目にする。すべてがどうしても目に入ってきてしまう。

時々、人々は私のことを人間として見ているのだろうかと疑問に思うことがある。私のことを、ちゃんと感情、目的、希望、恐怖、そして夢を完備した人間として見ているのだろうかと。あるいは、私のことを単なる厄介者として見ているのではないか? 何か異常な存在として? 嫌悪すべき存在として? 怪物として? 憐れむべき対象として? あなたたちの意図が善意によるものであろうが、悪意によるものであろうが、そんなことはほとんど関係ない。どちらにせよ、あなたたちは私のことを人間として見ていないのだ。自分と同じ存在として見ていないのだ。

いつの日か、自分自身にラベルを付ける必要がなくなる日が来ることを夢見ている。私はゲイなのか? ストレートなのか? トランスジェンダーなのか? シーメールなのか? シシーなのか? アンドロギュノスなのか? 男なのか? 女なのか? そんなラベルが一体何の関係があると言うのだろう? あなたたちは、正直言って、本当に私がズボンの中にどんな種類の性器を持っているかに興味があるのだろうか? あなたたちは私のことを単に人間として受け入れることができないのだろうか? 同じ仲間の人間として?

もちろん、あなたたちにはそんなことすらできない。あなたたちは次のふたつのどちらかを望むことしかできない。ひとつは、私に私は間違っていると知れと。私は不自然なのだと分かれと。もうひとつは、あなたたちは私の「特殊な」事情を支援していると知れと。デモ行進をしたい。街に出てパレードをしたいのだと。確かに、それを望むあなたたちは善意で言ってるのだろうが、私が何らかの点で他と異なるという神話を拡大することにしかなっていないのだ。所詮、私は他者にすぎないと。

私が何よりも強く求めていることが何か、あなたたちはご存じだろうか? 私は、特に目立つことなく、決めつけるような視線を感じることなく街を歩きたいだけなのである。人々が、他の人に対してするのと同じように、普通の視線で私を見るだけでよいのである。私という存在が普通であることを望んでいるだけなのである。

だけど、決してそんなことは実現しないだろうと恐れる。人間というものは、そういうふうにできていないのだ。でも、私には夢を見ることはできる。希望を持つことはできるのだ。


[2017/12/22] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

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