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64_Pent up 「逃れられない」
「い、いったい、これは……君は一体何をしてるんだ? どうしてここにいる? それに……」
「ジョンソンさん、なぜあたしがここにいるか知ってるくせに。あたしたち、これを先延ばしにしてきたけど、もう長すぎるくらいだと思うの」
「いや、いや。これは良くないよ。いいから、何か服を着てくれないか? もし、君のそんな姿を誰かに見られたら……。それにその言葉遣い。まるで……」
「女の子みたい? だって、それがあたしの本当の姿だから。それにあたしのこの姿を誰かが見たら、勘違いしてしまう? 勘違いじゃないかも、ね。でも、心配しないで。バリーはキャンプに行ってて、2日間は帰ってこないから。それに、あなたの奥様も旅行中だわよね? だから、この週末はずっとあたしとあなたのふたりっきりなの」
「何か服を着てくれと言ったじゃないか!」
「イヤ。拒否します。今日は、あたし、あなたに言い逃れさせるつもりはないの。あなたのことずっと見てきたのよ。バリーとお友達になってからずっと。あなたは隠そうとしてきたけど、ちゃんと見えていた。プールであたしのことをちらちら盗み見していたのをちゃんと知ってるの。あたしが見ていないと思ったときに限って、あたしのことを見ていた。それに、あたしが着替えしてたりシャワーを浴びてる時に、『偶然』、部屋やバスルームに入ってくるとか。ねえ、ジョンソンさん、お願い。ちゃんと認めちゃって。あなたはあたしのことを欲しいと思っているんでしょ? ずっと前からそう思ってきてたんでしょ?」
「で、でも……」
「あたしが女性化を始めた後は、もっとひどくなっていったわよね? あなたに言う必要もないほど。あなたには、はっきり見えていたはず。あたしの体の曲線とか、あたしがみんなに隠し続けていた胸の膨らみとか。ちゃんと消しきれなかったお化粧の跡とか。誰にも言わなかったわ。バリーにもね。親友なのに秘密にし続けるって、どれだけ大変なことか分かる? でも、バリーは気づいていない。あたしの両親も知らない。誰も知らないの。そもそも、あたしのことなんか誰も知りたいとも思っていないんじゃないかしら。でも、あなたはちゃんと知っていた。あなたは、ずっと最初から、全部知っていた」
「わ、私は……こんなことできないよ、ジェシー。こんなことは……」
「いいえ、できるはずよ。あなたのために、あたしはここまでしてきたの。あなたのためでなかったら、ここまですることはなかったと思うわ。少なくとも、自信をもって、ここまで体を変えることはなかったと思うの。でも、あたしはあなたが欲しかったから。ジョンソンさんのことが大好きで、あたしのことを愛してほしいと思っていたから。ああ、本当にあなたに抱かれたいの。それにあなたのズボンの膨らみ具合から判断すると、あなたもあたしのことが欲しいんじゃない? いいのよ。本当に、いいの。あたしたちの間には、これをしない理由はないんじゃない?」
「き、君は若すぎる。私は結婚しているし、君は私の息子の親友じゃないか。ジェシー、これはいけないことだよ。やってはいけないことだよ」
「あたしは18歳よ、ジョンソンさん。つまり、あたしは大人の仲間入りしたの。だから、ヤリたいと思った人と誰とでもヤッテ構わない年になったの。そして、今は、あたしがヤリたい人は、あなたのこと。だから、もう言い訳をいうのはやめて、こっちに来てください」
「本当に誰にも言わない?」
「もちろん、誰にも」