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A secret 「秘密」 

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56_A secret 「秘密」

あたしが、彼女のために、あたしたちのために、これをしたことを彼女が理解してくれるのを願ってる。あたしがこれを軽々しく決断したわけではなく、単なる気まぐれでしたわけでもないことを彼女が受け入れることができることを願ってる。あたしたちふたりが求めていたものを考えると、これが唯一の選択肢だった。あたしは、あの状況でできる、唯一の決断をしたのだ。このことが表す偽りの印象を無視することができるなら、これはすべてを変えることになる、しかも、より良い方向へと変えることになると思わざるを得ない。

ちょっと、いい? あたしはこれが間違ったことだと理解しているのよ。あたしがどこへ向かおうとしていたか、何をしていたか、彼女にちゃんと伝えるべきだった。でも、伝えても彼女は賛同しなかったと思う。同意しようとしなかったと思う。だから、あたしは、どうしてもしたいと思ったことを自分でやったわけ。あたしは嘘をついた。しばらく出張に出ると、1年近く不在にすると彼女に言った。でも、本当は、あたしはメキシコにある隔離された研究室に行ったの。そこは男性の妊娠にまつわる驚くべきことを研究している施設だった。

彼らは、彼女の卵子とあたしの精子を用いて、複雑な処置を行い、あたしに子を産む能力を与えてくれた。正確にどのようなことが行われたのか、あたしにはいまだにちゃんと理解できていないけれど、最終結果として、あたしは彼女があれほど切に求めていた子供を彼女に授けることができるようになったのだった。

でも、それはまだ完璧ではなかった。とはいえ、そもそも完璧なものなど、どこにもないものでしょう? その処置を受けた結果、あたしの体に劇的な変化が生じて、あたしは完全に女体化してしまったのだった。多分、それは、ホルモンと遺伝子レベルの配置換と関係してると思うけれど、正確には分からない。ともかく、あたしはかつてのような男性には二度と戻れなくなってしまった。でも、子供を授かるという褒美に比べれば、そんなことは小さな代償にすぎないと思っている。

気になっていることは、彼女がこれにどう反応するかだけ。前と変わらずあたしを愛してくれるだろうか? 彼女が、あたしの新しい体にまだ何らかの愛情を感じることができることを願うだけ。そうじゃない場合のことは、落胆がきつすぎて想像することすらできない。


[2018/01/07] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

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