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Battle buddy 2 「戦友 2」 

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56_Battle buddy 2 「戦友 2」

「な、何だ……」 俺は息を飲んだ。驚かせる光景を目の当たりにし、俺の声は不意にかすれ声になっていた。荷物がどすんと床に落ち、その大きな音が誰もいない廊下に響き渡った。だが、その大きな音すら俺にはほとんど聞こえなかった。ベッドにゆったりと横たわる女性の姿に目を奪われていたからだ。一瞬にして、その女性が誰か、俺には分かった。どこをとってもクラークの面影が見て取れた。だが、それでも、こんなに変わってしまった彼を見た衝撃は大きく、疑いの種が心の前面へと浮かんでくるのだった。その種は刻一刻と時間が経つにつれてみるみる大きく育ってくる。この人は彼なんかではありえない。そう自分に言っていた。こんなの不可能だと。証拠は、これが可能であるばかりでなく、絶対的な現実なのだと訴えていたが、そんなことなど気にするなと。

「ねえ?」 少ししわがれた、自信のなさそうな声が聞こえた。その声の持ち主、つまりは、ベッドに横たわる美女が、体の向きを変えた。そして、俺は、彼女の脚の間に彼女の以前のジェンダーの証しを見たのだった。

「クラーク?」 俺は呆けたような声を出していた。すでに俺には答えが分かっていたが訊いてた。「お前なのか?」

「質問があるんでしょうね。それとも、逃げ出したいと思ってるのかも。逃げてもあなたを責めないわ。でも、少しだけ時間をくれる? 全部、説明できるけど。いい?」

俺は頷いた。ショックを受けていただけとも言える。もし俺の足が勝手に動ける足だったら、恐らくその場で逃げ出していたことだろう。だが、実際は、俺は「いいよ」と呟くことしかできなかった。

彼女は……もはや俺はクラークを男と思うことはできなかった……彼女は体を起こした。「分かってくれると思うけど、こんな形をとって済まないと思っているの。ただ、あなたの関心を惹きたかっただけなの」 彼女がその目的を達成したのは確かだ。彼女は続けた。「いきなりのことだったと思うわ。今はあたしは女になっている。ほんと、びっくりしたと思うけど……」

返事をできないでいるのを見て彼女は続けた。「ま、いいわ……えーと……あのね? あなたに謝らなければいけないわね。ビビアンのこと。あの時、あたしは本当にすごく酔っぱらっていたの。自分でも何をしてるか分からなかった。でも、あたしは抵抗すべきだったわ。あそこまで進むのをやめさせるべきだった。ビビアンがあなたを傷つけたがっていたのは知っていたのよ。そして、あたしは、なされるがままに……」

「あれはいいんだ」と俺は答えた。本当の気持ちが声にも表れていてほしいと思った。

「本当に?」 そう問われ、俺は頷いた。「そう……良かった。もっとひどいことになると思っていたから。さて、次はもっと難しいところね」と彼女は一度深呼吸をした。それに合わせて、彼女の胸が大きく波打った。そのほかの部分にほとんど集中できなかった。「あたし……あなたを愛しているの。ああ。とうとう言っちゃった。あなたと会った日からずっとあなたのことを愛していたの。そして、あたしは……あなたと一緒になりたかった。これまでの人生で他のどんなことより、そうなることを願ってきた。それで、何と言うか、今はあたしは女になったわけで、も、もしかすると、あなたが……あなたも……あたしのことを欲しいと思ってくれるかもって……」

突然、すべてが理解できた。彼女はこの2年間ずっと変身することに費やしてきたのだ。彼女は俺の理想の女性がどんなタイプか知っていた。彼女はそれになろうとしてきたのだ。実際、彼女は隅から隅まで俺のタイプにぴったりだった。俺は、混乱し、頭を左右に振った。

「もし……もし、あたしのことが嫌いでも、理解できるから安心して。でも、その理由がこの脚の間についているモノなら、それを取ってしまってもいいの。あたしは、ただ……ただ、あなたのお、おんなになりたいだけなの」

「いや」 突然、確信した感覚があふれていた。彼女と一緒になることが、実に正しいことのように感じられた。理屈の点でも感覚の点でも当然としか思えなかった。「俺は、そのままの君が好きだよ」


[2018/01/08] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

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