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56_Captain bigdick 「キャプテン・ビッグディック」
チェルシーはレンガ壁を背に寄りかかり、自分の状況の現実を嘆いた。彼女は勤め先で横領をしていたところを見つかり、その後、強制的に司法取引を受諾させられたのだった。その結果は、刑期2年の判決だった。チェルシーは目を閉じ、自分の不運について悪態をついた。横領の証拠をもう少しうまく隠しさえしていたら、今頃、どこかトロピカルなビーチにいたはずなのに。
独房のドアが開く音がし、チェルシーはパッと目を開いた。だが、そこに見たものは、彼女が想像していたものではなかった。ドア先にいたのは、大きな乳房をしたブロンド髪の美女だった。しかも、脚の付け根には見たことがないほど小さなペニスがついている。
「あんた、いったい誰よ?」 チェルシーは裸のシーメールに吐き捨てるように言葉を投げかけた。
「キャンディーよ」 美女は黒い警棒を意味深けにさすり、そして微笑んだ。「あ、あたしは…んー……あたしはここの看守だったの。キャプテン・ビッグ・ディックって名乗っていたわ。あたし……えーと……見つかってしまって……なんて言うか……囚人を使ってるところを。セ、セックスのために。見つかったあと、しょ、所長があたしをこんなふうにしたの。たくさんホルモンを使われて。そして……」
「ジェシー?」 チェルシーが訊いた。なぜ、この美女を見覚えがあると感じていたのか、突然、分かったからだった。「あなた……ジェシーなの?」
「あ、あたしはキャ、キャンディーよ。ジェ、ジェシーなんか知らないわ」
「ジェシーだわ!」 チェルシーは跳ねるようにして立ち上がった。「あんたがここで働いてるなんて知らなかった! 働いていたというべきかしら? それとも、まだ正式にここで働いているの? って言うか、あんた、矯正施設に送られたと思っていたけど。よく分からないけど」
キャンディはチェルシーに近づき、小声でささやいた。「黙って! あの人たちにあたしたちのことがバレたらまずいの。あなたがあたしの姉だって知られたらまずいのよ。本当はあたしは、あの人たちが言ってるようなことはしていないの。ただ……何と言うか……囚人のひとりとセックスをしたのは本当。だけど、すべてその女がけしかけてきたことだったの。あれは仕組まれていたの。そして……」
チェルシーは女体化した弟を突き放した。「じゃあ、あんた、何しにここに来たのよ? 警告のため? 囚人を行儀良くさせるためとか? あいつらが私たちを自由に……」
「あ、違うわ……違うの。あたしは……うーん……囚人たちがここにいるのを少しだけ楽しく感じられるようにするために、ここにいるの。………好きなようにあたしの体を使って楽しめるように……」
チェルシーはキャンディに近寄り、何センチも離れていないほど近づいた。そして「あんた、本気で私にこれをしてほしいの?」と囁いた。
キャンディは頷いた。「他に道がないのよ。あたしがあなたの弟だって知られたら、大変なことになってしまう。監視されてるの。あの人たちが信じられるように演技しなきゃダメなの」
チェルシーは固唾をのんだ。キャンディが自分の弟ではないと思い込もうとした。だが、それは思ったより簡単だった。彼女の手が彼の小さな持ち物に触れた。「キャプテン・ビッグ・ディックねえ? すっごく皮肉な名前じゃない? このちっちゃなモノ。おちんちんというよりクリトリスじゃないの?」
キャンディはぶるっと体を震わせ、囁いた。「あ、ありがとう」
チェルシーは頷き、弟の縮んだ分身をまさぐり続けた。