
56_Fitting in 「フィット・イン」
「ああ、すげえバカになった気分だ。までバカすぎ」 とアダムが言った。
ケビンは彼のスナップ写真を撮った。「なんで? なんかマズいか?」
「なんかマズいか、だって? マジで言ってるのかよ」 とアダムは信じられなそうな面持ちで訊いた。「俺、フリークのハーレイ・クイン(
参考)のコスチュームなんだぜ? 見ただけで分かるだろ?」
「お前、ハーレイ・クインが好きだっただろ? あの映画で一番いいのが彼女だって言ってたじゃないか? それに、今年のハロウィーンのコスチュームでは、これが一番人気なんだぜ。分かんねえなあ……」
「全部言わなきゃ分からねえのか? 俺が女のコスチュームを着てるってことだよ。さらに悪いことに、これがまた俺に似合っているということだ。マジで嫌に……」
「その通りだよ。お前、本当にキマってるよ。でも、それを求めていたんだろ? ちゃんと馴染みたいって? おまえ、俺に何て言ったっけ? 大学は高校のようになりたくないって言ってたよな? 大学ではクールと呼ばれる人気者になりたいって。そうだろ? いいか? このコスチュームよりもお前を人気者するものはないって。いいから、俺の言うことを信じろよ。俺はちゃんと分かってやってるんだ」
「わ、分かるけどさ。でも……つか、何て言うか、男の着るコスチュームはダメなのか? この衣装、何か他の意味もあるに違いないって感じがするんだよ。分かるだろ?」
「もちろん、他の意味もあるよ。でも、肝心なことがあるんだ。これを聞いても、悪くとるなよ。いいか、アダム。お前が自分が着たいコスチュームを着ても、絶対、お前は人気者のカッコイイ男子なんかになれねえんだ。お前はそういう体格をしてないって、それだけの理由だ。男のコスチュームは全部、体格が大きくて、筋肉隆々なヤツにしか似合わないようになってるんだ。端的に言って、お前はそういう体をしていない。でも、それでいいんだよ。本当に。ともかく、俺たちは、お前の体格に合わせなくちゃいけないということだ。少なくとも、お前がジムでしっかり筋肉をつけるまではな」
「でも……」
「でもはもういいよ、アダム。俺に手伝ってもらいたいんなら、このコスチュームが答えだ。受け入れもいいし、このまま帰ってもいい。でも、俺はこれ以上、お前とここに突っ立って話し合っているのは御免だぜ」
「わ、分かったよ……」