
56_Hope 1 「希望1」
椅子のひじ掛けに覆いかぶさるあたしに対し、ひとりは口を犯し、もうひとりはあたしを屈服させんとばかりにアナルを突きまくる。そんな中、あたしは、どうしてここまで来てしまったのだろうと思わずにいられない。この3年間、あたしは体を好きなように使われて過ごしてきたが、いまだに、心の中「なぜ」の疑問を包み隠せてきれてはいない。
昔の人生をぼんやりと覚えている。あたしは重要な人物だったようだ。株のブローカーとか。弁護士とか。あるいは会計士とか。いずれにせよ、あたしはかなりの権力者だった。裕福でもあった。その点は一番覚えている。欲しいものは何でも、手に入れられた。
それが、どうしてこんなふうに間違ってしまったのだろう?
恐れていたのを知っている。心の底からの恐怖だった。あたしを怖がらせていたのが、身体的な打撃だったのか、もっと一時的なことだったのか分からない。それは関係ない。そういう詳細については覚えていない。でも、この状態になることに同意したことは覚えている。あたしは必死だった。恐れていた。それに他の選択肢もなかった。だから、これに同意したのだ。
そういうふうにして、あたしは娼婦になった。ある種の取引だった。この選択肢を出されて、あたしは選んだ。そうしなかったらどうなっていたかを思うと、体が震えてくる。
これからどうなるのか、分からない。どんな未来が待ち構えているか分からない。あたしは、それが一番怖い。
たったひとつ、一筋の希望が得られるとすれば、ある単純なことを思うことからだけ。つまり、ずっと娼婦のままでいるなんてありえないということ。そうでしょ? そうよね?