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Interview 「面接」 

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56_Interview 「面接」

「さあ、がんばって、ボビー」と、レニーはボクの後頭部に手を添え、優しくボクを前に押した。ボクは従順に口を開いた。ペースさんのペニスがボクの口の前、何センチも離れていないところでぶらぶら揺れていた。そして突然、頭のことろがボクの舌の上に当てられた。何をすべきか、何を期待されているか分かっていたけど、どうしても躊躇ってしまう。ためらう理由は山ほどあった。

レニーはなだめるようにボクの髪の毛を撫でた。何が問題か、レニーは知っている。ボクも彼女も知っている。でも、どうしても壁を打ち破れない。どうしても、この一線は越えられない。

頭の中、この行為は問題ないんだとする理由を探しまわった。どれだけ犠牲があろうとも、この仕事を得る機会をもらえたことだけでも幸運だったのは分かっている。レニーは、ボクがこのポジションにつけられるようにと、たくさんコネを使ってくれた。その恩に報いるためにも、彼女の期待にそぐわなければならない。

最悪な点はボクの性別ではなかった。外見とは違って、ボクは女じゃない。多分、女性的なところはあるにしても、女では決してない。それに女になりたいとも思っていない。ボクは単に会社の服装規定に従っているだけだ。レニーによれば、秘書はスカートかドレスを着なければならず、例外はなし、とのことだ。ちゃんとした印象を与えるためには、標準的な適切な服装をするほかほとんど道はなかった。そして、それが意味することは、そういう服装をするだけにはとどまらないということでもあった。そういう服装にちゃんと慣れている必要もあった。というわけで、レニーにも手伝ってもらって、ボクは女性的になるよう変身したのだった。かなり可愛くなったと自分でも分かる。その面で努力をしなかったら、ここまでこれなかったと思う。

もちろん、会社の人たちはボクが男だと知っている。最初、嘘をつくことを考えたけれど、レニーがそれはいけないと忠告してくれた。ボクは彼女の判断にしたがった。

でも、前に言ったけれど、女の子に仮装することは、最悪の点ではない。最悪なのは、そこではなくて、ペースさんのような人たちが、ボクのことを欲求を満足させる手段としてしか考えていないと悟ったことだった。ボクは人間ではなくて、あるひとつの目的のためのモノにすぎないということ。それを前もって知っていなかったならば、あのあからさまな現実をやり過ごすことができなかったと思う。口唇奉仕をすることが面接審査の一部になってるという事実。

面接の場でそれを知ったとき、ボクはなぜ自分はこの場にいるのかを思い出した。ボクはギリギリの状態で、ホームレスになりかかっていたのだ。何よりも、自活できる手段である仕事が欲しかった。こんなことでためらうことよりも、誇りを守ることよりも仕事が欲しかった。まして、男らしさにしがみつきたいという気持ちなど、仕事を得るためなら、どうでもよかった。そして、ボクと仕事の間に立ちふさがっているのは、ペースさんのペニスだけ。これは障害物にすぎないと認めた後は、ためらいの気持ちは一気に薄れていった。そして、ボクは「面接」において、とても情熱的な仕事ぶりをしてみせたのだった。


[2018/01/16] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

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