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A plea for help 「助けてほしい」 

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65_A plea for help 「助けてほしい」

「わーお、シャネル。びっくりしたよ。前よりずっと綺麗になったな」

「やめてよ、トミー」とボクは彼の言葉をさえぎった。「それにシャネルと呼ぶのもやめて。それがボクの名前じゃないのは知ってるでしょ?」

「どうかなあ」とトミーは予想した通りの返事をした。「大きなことだったんだよ。お前がカミングアウトしたんだから。それを受け入れるのはキツかったんだぜ。正直言うとな。だが俺は受け入れたし、みんなも受け入れた。なのに、お前はいまさらそんなことを言っている」

「それは全部、嘘なんだよ、トミー!」ボクは半分泣き声になっていた。パニックになっていた。「ちゃんと聞いてる? ジーナのせいだと思う。ジーナがやったと思ってる……」

「催眠術をか? そう言いたいんだろ? それとも魔法とか?」

「わ、分からないけど……でも……」

トミーは声には出さなかったけれど、笑っていた。「お前マジ? 俺、ジョークを言ったつもりだったんだけど。催眠術なんかねえよ。魔法もな。俺も何かは知らねえが。バカな冗談か何かかもな。ともかく、そんなのマジでありえねえよ。お前、本当の自分になると、オンナの体になると、こんなとんでもねえ取引をやったんだろ。なのに今になって、お前。……おい、お前、何やってんだよ?」

ボクはすでにトップを脱いでいた。上半身を露出して、体の変化の大きさを見せていた。彼がさらに何か言う前に、ボクはジーンズも脱いで、足首まで降ろしていた。さらにパンティも降ろしかけていた。そうボクのパンティ。「これ、見てよ! ほ、ほとんど、なくなっているんだ。ジーナはボクのタマまで取ってしまったんだよ、トミー! それにボ、ボクのちんぽ。これって……ああ、これって……」

トミーは両手を前に突き出して、後ずさりした。別れ話を言われてヒステリーを起こした女性を前にしたような感じだった。ボクは、兄からも同じような扱いを受けたことがある。「助けてほしいのよ。分かる? ボクのことを信じてくれる人が欲しいの。ジーナがどうやってこれをしたか知らないけど、ボクが自分のことをコントロールできていたのは、あの独身男の会が最後で、その後は……」

「それって2年前じゃねえか、シャネル。……いや、すまん、チャーリーだったな。で、2年もの間、その呪いだか何だかにかかり続けているって言ってるのか? そんなの狂ってるだろ。分かってるのか、お前?」

「わ、分かってるよ……でも本当なんだ。ボクは全部覚えてる。本当に。抵抗しようとしたけど、できなかった。自分でいようとしたんだ。でも、その間もジーナはずっとボクを先に、先にと追い立てていて。ボク自身、分からない……もう何が本当か分からないよ。ただ、助けが欲しいだけなんだよ。どうなってるのか知りたいんだ。ボクを助けてくれる?」

「俺にできることなら何でもするぜ」

ビックリした。ボクは満面の笑顔になった。「ほ、本当?」とボクは両腕を広げて彼に抱きついた。ぎこちなかったけど、心を込めて抱き着いたつもりだった。その時の安心感は言葉では言い表せない。とうとうボクのことを信じてくれる人が現れたのだから。「ああ、ありがとう! 本当にありがとう!」

「俺たちがお前を医者に連れて行くよ。何が起きてるか調べることにするから。原因が何であれ、お前をちゃんと元通りに直してやるからな」

ボクは彼から離れた。「い、医者って?」

トミーは笑っていた。「いつもの医者だよ、シャネル」とトミーはボクの両肩をがっちりと抑えた。体をよじって逃れようとしたけど無理だった。「お医者さんがお前をちゃんとしてくれるぜ。そうすれば、今日のことなど思い出すこともなくなるだろうな」



[2018/01/29] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

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