65_Crisis aversion 「危機の回避」
「キミはボクを無視しているような気がするよ。何と言うか、深刻な問題があるように思うんだ」
「問題なんかないわよ。前にも言ったでしょ? あなたのお尻がちょっとばかり大きくなっても、あたしは気にしないって。そのお尻、可愛いと思うもの」
「メリッサ、単にお尻が大きくなっただけじゃないよ。よく見て。本当に、よく見てよ。ヒップも前よりずっと大きくなっているんだから!」
「アレをするとき、そこに掴めて気に入ってるわ……」
「それはその時だけでしょ! 本当に、どうしてキミの場合はすべてがセックスに関係づけられてしまうの? ボクの体に何か深刻なことが起きてるのに、キミはまるで普通のことのように振る舞っている。ここの部分も、こっちも、変になってるし、あそこも……」
「で、あたしがあなたの新しい体つきが気に入ってるかって? ええ、変化については知ってるわ。でも、だからって、あたしに何かできる? それに、あなたが語りたがらない、下の方のちっちゃな問題についても? それも気づいてるわよ。今はどのくらい? 5センチ? 大きくなっても、やっと7センチ?」
「ぼ、ボクは……」
「ほーら、口答えできないのよね。ふんっ! あの病的にちっちゃいモノについてちょっと言及すると、途端に口答えできなくなっちゃうんだから」
「職場で噂になってるんだよ。いつまで隠してられるか分からないよ。もう、スーツは全部、合わなくなってるし……」
「心配してるのは、そのことなの? マジで言ってるの?」
「ほ、他にもあるけど………」
「それを気にしてるなら、そう言ってよ。これなんか、どう? あたしのパンツスーツを貸してあげるわ。それが女性用だなんて、たいていの人は気づかないわよ。それに、これならあなたに似合うと思うわ」
「で、でも……」
「あ、それにパンティもね。あなたはパンティを履かなきゃダメ。トランクスなんてありえないわ」
「そ、そうなのかなあ……」
「ほら、ほら。さあ、これで問題は解決したわよね? ちゃんと体のサイズにあった服ができたし、職場の人たちも噂話をやめるんじゃない? 簡単な解決策だったわよ」
「メリッサ、これを着ても居心地よくなるか分からないよ」
「大丈夫よ。さあ、もうこれはお終い。あなたに何か可愛い服を用意してあげなくちゃ」